今回は「FATF第3次対日相互審査の結果・フォローアップ」と「報告書概要」から合計16問(2単元×8問)を出題します。 第3次審査で何を指摘され、日本がどう対応した(犯収法改正など)かをセットで整理しましょう。
- FATF第3次対日相互審査=2003年「40の勧告」(第3次)+2004年「9の特別勧告」に基づき実施。結果は一部履行(PC)15項目・不履行(NC)10項目で、重要項目はFATFのフォローアップ対象に
- FATFは議長を団長とするハイレベル使節団を派遣し関係5省庁と意見交換。指摘された重大な不備=予防的措置(顧客管理)が不十分・テロリストへの資金凍結が不完全
- 結果を受けた日本の対応=2011年 犯罪収益移転防止法等の改正(2013年4月全面施行=取引時確認事項の追加・ハイリスク取引の類型・電話転送サービス事業者の追加・罰則強化)/2014年11月 国際テロリスト財産凍結法の成立
- 報告書概要の指摘①=主要セクター(銀行・証券・保険・協同組織金融機関)以外は限られた検査・制裁/リスクベース・アプローチを実施していない・内部管理態勢を義務付ける法律がない
- 報告書概要の指摘②=シェルバンク(実体を有しない銀行)とのコルレス契約の締結・維持が明確に禁止されていない/無記名式株式が依然存在しうる/非営利団体(NPO)への啓蒙活動を行っていない
- ⚠ひっかけ=過去にテロ行為を行ったいくつかのテロ組織が日本を本拠として活動しているとの報告(「活動した事実はない」は誤り)
| 実施の基準 | 2003年「40の勧告」(第3次勧告)+2004年「9の特別勧告」 |
|---|---|
| 評価結果 | 49審査項目のうち 一部履行(PC)15項目・不履行(NC)10項目 → 重要項目はFATFのフォローアップ対象に |
| FATFの対応 | 議長を団長とするハイレベル使節団を派遣し、関係5省庁と意見交換/是正が進まないことへの憂慮が示された |
| 指摘された重大な不備 | 予防的措置(顧客管理)が不十分 / テロリストに対する資金凍結が不完全 |
| 日本の対応 | 2011年 犯罪収益移転防止法等の改正(2013年4月1日全面施行)=取引時確認事項の追加・ハイリスク取引の類型・電話転送サービス事業者の追加・罰則強化 / 2014年11月 国際テロリスト財産凍結法 成立 |
結果を受けた日本の法改正(押さえる)
- 2011年 犯罪収益移転防止法等の改正(2013年4月1日 全面施行)=取引時確認事項の追加(士業者を除く)=「取引を行う目的」「職業(自然人)/事業の内容」「実質的支配者(法人)」「資産・収入の状況(ハイリスク取引の一部)」/ハイリスク取引の類型の新設・電話転送サービス事業者の追加・罰則強化
- 2014年11月 国際テロリスト財産凍結法の成立(国連安保理決議第1267号等を踏まえた国際テロリストの財産凍結等の特別措置)
- FATFは議長を団長とするハイレベル使節団を派遣し関係5省庁と意見交換。予防的措置(顧客管理)が不十分・テロリストへの資金凍結が不完全という不備の是正が進まないことへの憂慮が示された
報告書概要の主な指摘(財務省「対日相互審査報告書概要(仮訳)」)
- 主要セクター(銀行・証券・保険・協同組織金融機関)以外には、限られた件数・種類の検査と制裁しか行われていない
- 日本はリスクベース・アプローチを実施しておらず、高リスク顧客の強化された顧客管理や簡素化された顧客管理の義務付けがない
- コンプライアンス責任者の指定や独立した内部監査機能の維持等、内部管理態勢の構築等を義務付ける法律が存在しない
- 顧客管理措置に代理権限の確認や受益者・真の受益者の確認が含まれていない/第三者機関による顧客管理への依存は認めていない
- シェルバンク(実体を有しない銀行)とのコルレス契約の締結・維持が明確に禁止されておらず、口座利用を許してはならない義務付けもない
- 1990年の商法改正以後、匿名の無記名式株式の発行が禁止されたにもかかわらず、こうした株式が依然として存在しうる
- 非営利団体(NPO)に対する、テロ資金供与の悪用リスク等の啓蒙活動を行っていない
⚠ ひっかけに注意
- 審査の基準は第3次(2003年40の勧告+2004年9の特別勧告)(2012年の「新40の勧告」=第4次ではない)
- 報告時点で、過去にテロ行為を行ったいくつかのテロ組織が日本を本拠として活動しているとの報告(「活動した事実はない」は誤り)
- 2011年改正で特定事業者に追加されたのは電話転送サービス事業者(「弁護士などの士業者」ではない)
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問題 1 / 16
日本はFATF第3次対日相互審査の結果を踏まえて犯罪収益移転防止法等を改正し、一定の取引の際に確認すべき事項として「取引を行う目的」や「法人の実質的支配者」などを新たに追加した。
第3次審査の結果を踏まえ、2011年に犯罪収益移転防止法等が改正され(2013年4月全面施行)、取引時確認事項が追加されました。
問題 2 / 16
日本ではFATF第3次対日相互審査の結果を踏まえる形で、2014年11月に国際テロリスト財産凍結法(国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法)が新たに成立した。
国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ、2014年11月に国際テロリスト財産凍結法が成立しました。
問題 3 / 16
2012年に策定された「新40の勧告」(第4次勧告)を審査基準として実施されたのが、FATF第3次対日相互審査である。
第3次対日相互審査は、2003年に再改訂された「40の勧告」(第3次勧告)と2004年策定の「9の特別勧告」に基づいて実施されました。「新40の勧告」は第4次相互審査の基準です。
問題 4 / 16
FATF第3次対日相互審査の結果、日本はすべての審査項目で履行と評価され、FATFのフォローアップは不要とされた。
49審査項目のうち一部履行(PC)15項目・不履行(NC)10項目という評価で、重要項目についてはFATFのフォローアップを受けることになりました。
問題 5 / 16
日本へのFATF第3次対日相互審査を受けて、FATFの議長が団長となるハイレベル使節団が来日し、マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策を担当する関係5省庁との間で意見交換が行われた。
ハイレベル使節団が派遣され、財務省・金融庁・警察庁・法務省・外務省の5省庁と意見交換が行われました。
問題 6 / 16
FATF第3次対日相互審査でFATFが指摘した重大な不備として、日本ではテロリストに対する資金凍結が適切に行われている、という点が評価された。
指摘された重大な不備は「予防的措置としての顧客管理が不十分であること」や「テロリストに対する資金凍結が不完全であること」です。資金凍結は不完全と指摘されました。
問題 7 / 16
2011年の犯罪収益移転防止法等の改正により、マネー・ローンダリングに悪用される危険性が特に高いとされる取引の類型(ハイリスク取引)が新たに定義され、より厳格な確認手続の対象に位置づけられた。
ハイリスク取引の類型が定められ、厳格な方法による確認の対象とされました。
問題 8 / 16
2011年の犯罪収益移転防止法等の改正では、新たに特定事業者として弁護士などの士業者が追加された。
新たに特定事業者として追加されたのは電話転送サービス事業者です。なお、取引時の確認事項の追加は士業者を除いて行われました。
問題 9 / 16
FATF第3次対日相互審査に係る「報告書概要」では、主要セクターである銀行・証券・保険・協同組織金融機関以外に関しては、限られた件数・種類の検査と制裁しか行われていない、と報告された。
主要セクター以外への検査・制裁が限られている、との指摘がありました(財務省「対日相互審査報告書概要(仮訳)」)。
問題 10 / 16
FATF第3次対日相互審査に係る「報告書概要」では、報告時点において、過去にテロ行為を行ったテロ組織が日本を本拠として活動している事実はない、と報告された。
実際には、過去にテロ行為を行ったいくつかのテロ組織が日本を本拠として活動している、との報告がありました。「事実はない」は誤りです。
問題 11 / 16
FATF第3次対日相互審査の「報告書概要」では、日本はリスクベース・アプローチを取り入れておらず、リスクの高い顧客に対する強化措置や、逆にリスクの低い顧客への簡素化措置のいずれも義務化されていない、と指摘された。
リスクに応じた顧客管理(強化・簡素化)の義務付けがない、と指摘されました。
問題 12 / 16
FATF第3次対日相互審査の「報告書概要」では、コンプライアンス責任者を置くことや独立した内部監査機能を保つことなど、内部管理態勢の整備を法律で義務付ける仕組みが日本にはない、との指摘があった。
マネー・ローンダリング・テロ資金供与を防止する内部管理態勢の構築等を義務付ける法律が存在しない、と指摘されました。
問題 13 / 16
FATF第3次対日相互審査の「報告書概要」によれば、日本国内の金融機関等がシェルバンク(実体のない銀行)とコルレス契約を結んだり維持したりすることは、法律上はっきりと禁止されていると報告された。
実際には「明確に禁止されておらず」、口座利用を許してはならないという義務付けもない、と指摘されました。なお現在は犯罪収益移転防止法9条でコルレス契約時の確認が義務付けられています。
問題 14 / 16
FATF第3次対日相互審査の「報告書概要」では、金融機関が第三者機関の行った本人確認等に頼って顧客管理を済ませることを、日本は広く容認していると報告された。
実際には、日本は第三者機関による本人確認等の顧客管理に依存することを認めていない、と報告されました。
問題 15 / 16
FATF第3次対日相互審査に係る「報告書概要」では、日本は、非営利団体(NPO)に対するテロ資金供与の悪用リスク等に関する啓蒙活動を積極的に行っている、と報告された。
実際には、非営利団体(NPO)に対する啓蒙活動を行っていない、と指摘されました。
問題 16 / 16
FATF第3次対日相互審査の「報告書概要」によると、1990年の商法改正によって匿名の無記名式株式の発行自体は禁止されたが、そうした株式が今なお存在する可能性がある、と指摘された。
無記名式株式の発行禁止後も、こうした株式が依然として存在しうる、と指摘されました(当局も統計は有していないと推測)。

第2章 FATF
FATF第3次対日相互審査(結果・報告書概要)
FATF第3次対日相互審査(結果・報告書概要)
問正解 / 16問中
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第2章③まとめ:FATF第3次対日相互審査(結果・報告書概要)
- 第3次対日相互審査=2003年「40の勧告」(第3次)+2004年「9の特別勧告」で実施。PC15項目・NC10項目で、重要項目はフォローアップ対象
- FATFは議長を団長とするハイレベル使節団を派遣・5省庁と意見交換。不備=予防的措置(顧客管理)が不十分・テロリストへの資金凍結が不完全
- 日本の対応=2011年 犯罪収益移転防止法等の改正(2013年全面施行)/2014年11月 国際テロリスト財産凍結法 成立
- 報告書概要=リスクベース・アプローチ未実施・内部管理態勢を義務付ける法律なし・シェルバンクとのコルレス禁止が不明確・無記名式株式が存続・非営利団体(NPO)への啓蒙なし
- ひっかけ=「テロ組織が日本を本拠に活動した事実はない」は誤り(活動しているとの報告)/審査基準は第3次(第4次=新40ではない)
「審査基準は“第3次(2003年40の勧告+2004年9の特別勧告)”(第4次=新40ではない)」「テロ組織が日本を本拠に活動との報告」「シェルバンクとのコルレス禁止が不明確・無記名式株式・NPO啓蒙なし」――この3つが頻出ひっかけです! 試験、頑張ってください‼
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