「ご本人確認のため、免許証などお持ちですか?」—— 窓口で毎日交わされるこのやり取りには、実は細かなルールがぎっしり詰まっています。 本人確認書類の使い方と、確認した情報を最新に保つ「顧客管理措置」。 顧客管理の実務の土台を、一問一答で固めましょう。
- 本人確認書類は証明力の高い順にA〜C群の3種類。対面ならA群(運転免許証など写真付き)の原本1点で確認でき、B群・C群の原本なら転送不要郵便で取引関係文書を送るところまでがセット。対面で「写し」の提示は不可。
- 住居の確認に使う公共料金領収書などの補完書類は、領収日付・発行年月日が6カ月以内のものに限る(1年ではない)。個人番号の通知カードは本人確認書類・補完書類から除外されている(すでに廃止・新規発行なし)。
- 継続的な契約にもとづく取引でなりすまし・偽りの疑いがあるときは、当初の契約の際に確認した書類とは別の書類を少なくとも1つ確認(例:運転免許証で確認していた→個人番号カードなど別の書類で)。ハイリスク取引も「通常の方法+別の書類」の二段構え。
- 顧客管理措置=「取引時確認で確認した情報を最新の内容に保つための措置」+「内部管理態勢の整備」の2本柱(犯罪収益移転防止法11条)。FATF第3次対日相互審査報告書の指摘に基づいて創設された。
- 内部管理態勢の整備は努力義務(罰則つきの法的義務ではない)。
- 最新の内容に保つ措置の例=変更があったら顧客から届け出てもらう旨を約款に盛り込むこと。事業者側の「調査」までは求められず、単発の取引の顧客は対象外。方法に制限はなく、他の金融機関からの情報提供も含まれると考えられる。
本人特定事項(氏名・住居・生年月日)の確認に使える書類は、証明力の高い順にA群・B群・C群の3種類に分けられています。どの群の書類かによって、確認の手続きが変わります。
対面取引での本人特定事項の確認
- A群(運転免許証・個人番号カードなど写真付き)…原本1点の提示でOK
- B群・C群(各種保険証など)…原本1点の提示+記載された住居に宛てて取引関係文書を書留郵便・転送不要扱いで送付するところまでがセット
- 写しは不可…対面で行う通常の特定取引では、本人確認書類の「写し」の提示は認められない(原本が必要)
- 住居が書類と違うとき…別の本人確認書類か、公共料金領収書などの補完書類(日付が6カ月以内のものに限る)で現在の住居を確認
- 個人番号の通知カード…本人確認書類・補完書類から除外(番号法の収集制限などが理由。通知カード自体すでに廃止)
ふだんの確認方法だけでは足りず、書類をもう1点求められる場面が2つあります。どちらも「なりすましを防ぐ」ための上乗せルールです。
書類の上乗せが必要な2つの場面
- ハイリスク取引(厳格な取引時確認が必要な取引)…通常の確認方法に加えて、その際に使った書類とは別の本人確認書類または補完書類の提示・送付を受ける
- なりすまし・偽りの疑い…継続的な契約(預金契約など)にもとづく取引で、当初の取引時確認に偽りの疑いがあるときは、当初の契約の際に確認した書類以外の書類を少なくとも1つ確認(例:運転免許証で確認済み→個人番号カードなど別の書類)
確認は「取引のとき1回やって終わり」ではありません。犯罪収益移転防止法11条は、取引時確認や記録の保存、疑わしい取引の届出などを的確に行うための顧客管理措置として、2つの柱を特定事業者に求めています。この規定は、FATF第3次対日相互審査報告書の指摘に基づいて創設されました。
顧客管理措置の2本柱(犯罪収益移転防止法11条)
- 柱①確認した情報を最新の内容に保つための措置…例=本人特定事項などに変更があったら顧客から届け出てもらう旨を約款に盛り込む。事業者側が「調査」することまでは求められない/単発の取引の顧客は対象外/方法に制限はなく、他の金融機関からの情報提供を受けることも含まれると考えられる
- 柱②内部管理態勢の整備…こちらは努力義務(法的義務ではない)。教育訓練・規程の作成・統括管理者の選任など具体的な中身は次の記事④で詳しく扱う
〇か✖をタップ!
正解の場合 ➔ 青で表示されます
不正解の場合 ➔ 赤で表示されます
問題 1 / 16
住居の確認に用いる公共料金の領収書などの補完書類は、領収日付の押印や発行年月日が、提示を受ける日からさかのぼって1年以内のものであれば認められる。
補完書類として認められる公共料金領収書などは、領収日付の押印または発行年月日が「6カ月以内」のものに限られます。1年以内ではありません。
問題 2 / 16
顧客の現在の住居が、提示を受けた本人確認書類の記載と食い違っている場合には、別の本人確認書類や補完書類の提示などを受けて、現在の住居を確かめる必要がある。
本人確認書類の住所が引っ越し前のまま、といった場合には、別の本人確認書類や、公共料金領収書などの補完書類によって、現在の住居を確認します。
問題 3 / 16
個人番号の通知カードには氏名・住居・生年月日が記載されているため、対面の特定取引における本人確認書類として使うことができる。
通知カードは個人番号を本人に知らせて確認するためだけに発行されるものであり、番号法による個人番号の収集制限もあることから、本人確認書類として取り扱うのは適当でないという内閣府・総務省の見解を踏まえ、国家公安委員会等の告示で本人確認書類・補完書類から除外されています。通知カード自体すでに廃止されており、新規発行もありません。
問題 4 / 16
預金契約など継続的な契約にもとづく取引で、契約締結の際の取引時確認に偽りの疑いがあるときは、その契約の際に確認した書類とは別の書類を、少なくとも1つ確認する必要がある。
なりすましや偽りが疑われる場合には、当初の契約時に使った書類以外の本人確認書類または補完書類を最低1つ確認します。例えば運転免許証で確認していた預金契約なら、個人番号カードなど運転免許証以外の書類で確認することになります。
問題 5 / 16
対面で行う通常の特定取引では、運転免許証の原本の代わりにその写しの提示を受ける方法でも、本人特定事項の確認として認められる。
対面で行う通常の特定取引では、本人確認書類の「写し」の提示は認められておらず、原本の提示を受ける必要があります。
問題 6 / 16
本人確認書類は証明力の高い順にA群からC群までの3種類に分けられており、対面取引では、運転免許証などA群の書類の原本1点の提示を受ける方法が認められている。
写真付きの運転免許証や個人番号カードなどは証明力が最も高いA群とされ、対面ではA群の原本1点の提示で本人特定事項を確認できます。
問題 7 / 16
対面取引で、各種保険証などB群・C群の本人確認書類の原本の提示を受けた場合も、A群の書類と同じように、その提示だけで本人特定事項の確認は完了する。
B群・C群の書類の原本の提示を受けた場合は、そこに記載された住居に宛てて、取引関係文書(預金通帳など)を書留郵便により転送不要扱いで送付する手続きまで行うことで、確認が完了します。
問題 8 / 16
厳格な取引時確認が求められるハイリスク取引では、通常の確認方法に加えて、その際に使った書類とは別の本人確認書類か補完書類の提示・送付を受ける必要がある。
ハイリスク取引の本人特定事項は、「通常の確認方法」+「その際に用いた書類以外の本人確認書類・補完書類」という二段構えで確認します。
問題 9 / 16
顧客管理措置とは、取引時確認や取引記録等の保存、疑わしい取引の届出などを的確に行うために特定事業者が講じる措置で、確認した情報を最新に保つ措置と、内部管理態勢の整備の2つからなる。
犯罪収益移転防止法11条は、「取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置」と「内部管理態勢の整備」という2本柱を特定事業者に求めています。
問題 10 / 16
犯罪収益移転防止法は、取引時確認などを的確に行うための内部管理態勢の整備を、必ず果たさなければならない法的義務として特定事業者に課している。
内部管理態勢の整備は、同法11条で「努力義務」として求められているものです。必ず果たさなければならない法的義務として課されているわけではありません。
問題 11 / 16
犯罪収益移転防止法における顧客管理措置の規定は、FATFの第3次対日相互審査報告書での指摘を踏まえて設けられたものである。
顧客管理措置に関する規定は、FATF第3次対日相互審査報告書における指摘に基づき創設されました。「第4次」と取り違えないよう注意しましょう。
問題 12 / 16
確認した情報を最新に保つ措置の例としては、本人特定事項などに変更があったときに顧客の側から届け出てもらう旨を、あらかじめ約款に盛り込んでおくことが挙げられる。
変更があった場合に顧客等が特定事業者に届け出る旨を約款に定めておく方法などが想定されています。
問題 13 / 16
単発の取引しかない顧客についても、本人特定事項などの情報を最新の内容に保つための措置を講じておかなければならない。
単発の取引は継続的な関係が想定されず、確認した内容を更新する機会もないことから、最新の情報に保つための措置を講じる必要はないと考えられています。
問題 14 / 16
確認した情報を最新に保つ措置として、特定事業者は、顧客に定期的な報告を求めて情報を集めることが法律で義務づけられている。
この措置の具体的な内容は犯罪収益移転防止法に定めがなく、顧客からの定期的な報告の取得が義務づけられているわけではありません。また、変更を把握するために事業者側が「調査」を行うことまでは求められていません。
問題 15 / 16
確認した情報を最新に保つ措置の方法や手段に決まった制限はなく、顧客からの届出のほか、他の金融機関からの情報提供によって把握するやり方もあり得ると考えられている。
方法・手段に制限はないと解されており、自ら顧客から報告を受けるほか、他の金融機関(特定事業者)などから情報提供を受けることも含まれると考えられています。
問題 16 / 16
確認した情報を最新に保つ措置を特定事業者に求めているのは金融庁のガイドラインであり、犯罪収益移転防止法そのものには規定がない。
この措置は犯罪収益移転防止法11条に規定されています。金融庁のガイドラインも継続的な顧客管理を求めていますが、この措置の根拠は法律(犯収法)にあります。

第6章 顧客管理
本人特定事項の確認方法・顧客管理措置
本人特定事項の確認方法・顧客管理措置
問正解 / 16問中
結果はスクリーンショットで保存してくださいね 📸
第6章③まとめ:本人特定事項の確認方法・顧客管理措置
- 対面の確認=A群は原本1点でOK・B群/C群は原本+転送不要郵便のセット・写しは不可。住居が違うときは別の本人確認書類か補完書類(6カ月以内)で確認。
- 個人番号の通知カードは本人確認書類・補完書類から除外(すでに廃止・新規発行なし)。
- ハイリスク取引・なりすましや偽りの疑いがあるときは、当初の書類とは別の書類をもう1点(なりすまし等の場合は当初の契約の際の書類以外を少なくとも1つ)。
- 顧客管理措置の2本柱=情報を最新の内容に保つ措置+内部管理態勢の整備(犯罪収益移転防止法11条・FATF第3次対日相互審査報告書の指摘で創設)。
- 内部管理態勢の整備は努力義務。最新に保つ措置の例=届出義務を約款に盛り込む(「調査」までは不要・単発の取引は対象外・他の金融機関からの情報提供も可)。
【頻出ひっかけ】 ・補完書類の領収書は「1年以内」→ ✕(6カ月以内) ・個人番号の通知カードは本人確認書類に使える → ✕(除外・すでに廃止) ・内部管理態勢の整備は法的義務 → ✕(努力義務) 試験、頑張ってください‼
📎 公式情報・出典(別タブで開きます)
試験対策には公式問題集が最適です。試験の傾向をつかむのに役立ちます。

🛒 2026年度版 AML/CFTスタンダードコース試験問題集(楽天)
📦 Amazonで購入する方はこちら
2026年度版 AML/CFTスタンダード問題集(Amazon)
AML/CFT資格攻略道場
