第6章 顧客管理【2026年度対応】|⑥ 実質的支配者の顧客管理(一問一答)

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会社の裏で、本当に舵を握っているのは誰か——

法人取引では、表向きの代表者だけでなく「実質的支配者」まで確認します。
議決権25%超という線引きや、会社の種類ごとの判断方法を、
一問一答で整理しましょう。
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📌 今回のポイント

  • 実質的支配者=法人の事業経営を実質的に支配できる関係にある者。議決権その他の手段で法人を支配する自然人にまで遡って確認する(法人止まりにしない)。該当する自然人が複数いればその全員が実質的支配者。
  • 確認方法は取引の種類で変わる。通常の特定取引=法人の代表者等から申告を受ける/厳格な取引時確認=株主名簿・登記事項証明書等の書類を確認し、かつ法人から申告を受ける。「代表者等」=取引の任に当たっている自然人。
  • 判断方法は法人の種類で分かれる。資本多数決法人=株式会社・投資法人・特定目的会社など。資本多数決法人以外=持分会社(合名・合資・合同会社)や一般社団・財団法人、学校・宗教・医療・社会福祉法人、NPO法人など。
  • 資本多数決法人=①議決権25%超の自然人→②いなければ出資・融資・取引等で実質的な影響力を持つ自然人→③それもいなければ法人を代表し業務を執行する自然人、の順で特定。議決権は直接保有+間接保有を合計。
  • 資本多数決法人以外=「収益総額の25%超の配当を受ける自然人」または「実質的な影響力を持つ自然人」が実質的支配者(影響力を持つ自然人は常に確認)。ほかに50%超の配当を受ける自然人がいれば、25%超の者は該当しない。

実質的支配者とは(まず全体像)

法人と取引するとき、表向きの代表者だけでなく、その会社を実質的に動かしている人(実質的支配者)まで確認します。ポイントは「自然人まで遡る」ことと「該当する人が複数いれば全員が対象」という点です。
実質的支配者の基本ルール
  • 定義…法人の事業経営を実質的に支配することが可能な関係にある者。議決権その他の手段で支配する自然人にまで遡って特定する(法人止まりにしない)
  • 複数いたら全員…該当する自然人が複数いる場合は、そのすべてが実質的支配者(1名に絞ってもらうのではない)
  • 確認方法…原則、法人の代表者等から申告を受ける(「代表者等」=取引の任に当たっている自然人)
  • 判断の時点…原則は取引時点での該当性。ただし直近の株主総会開催時など、合理的な範囲で近接した時点の状況で判断してもよい

会社の種類で確認方法が変わる

実質的支配者の判断方法は、法人が資本多数決法人か、それ以外かで分かれます。まずどちらのグループかを見分けます。
2つのグループ(ここを取り違えない)
  • 資本多数決法人…株式会社・投資法人・特定目的会社など(株主総会などの議決権で経営を決める会社)
  • 資本多数決法人以外持分会社(合名・合資・合同会社)、一般社団・財団法人、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、NPO法人(特定非営利活動法人)など
  • 確認の手続き…通常の特定取引は代表者等からの申告/厳格な取引時確認は株主名簿・登記事項証明書等の書類を確認し、かつ法人から申告を受ける

誰が実質的支配者?(割合の判定)

会社の種類が分かったら、次は「誰が」実質的支配者かを割合で判定します。カギになる数字は25%超。資本多数決法人とそれ以外で、見る対象(議決権か配当か)が変わります。
判定の順序(資本多数決法人)
  • 議決権25%超を保有する自然人がいるか(議決権は直接保有+間接保有を合計して判定)
  • ② ①がいなければ、出資・融資・取引その他の関係を通じて事業活動に実質的な影響力を持つ自然人がいるか
  • ③ ①も②もいなければ、法人を代表し、その業務を執行する自然人が実質的支配者
  • ※ 事業経営を支配する意思または能力を有しないことが明らかな者は除く
判定のしかた(資本多数決法人以外)
  • 対象は「収益総額の25%超の配当を受ける自然人」または「事業活動に実質的な影響力を持つ自然人」…どちらかに該当すればその自然人が実質的支配者
  • 影響力を持つ自然人は、25%超の配当を受ける自然人の有無にかかわらず常に確認する
  • ほかに収益総額の50%超の配当を受ける自然人がいる場合は、25%超の者は実質的支配者に該当せず、50%超の者が実質的支配者になる
💬 実務の現場から

「社長=実質的支配者」とは限らないのが、この分野の難しさです。株主名簿をたどると、別の大株主が実質的に会社を握っていた——ということもあります。窓口では「なぜそこまで聞くのか」とお客さまに思われがちですが、会社を悪用から守るための確認だと丁寧に説明できると、手続きがスムーズになります。25%超・50%超という数字は、試験でも実務でも登場する大切な目安です。

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問題 1 / 24
法人の実質的支配者とは、その会社の経営を実質的にコントロールできる立場にある者をいう。
実質的支配者は、法人の性質に従って定められており、議決権その他の手段によって法人を支配する自然人にまで遡って確認することになります。
問題 2 / 24
実質的支配者の本人特定事項は、原則として当該法人の代表者等から申告を受ける方法によって確認する。
確認方法は、法人の代表者等から実質的支配者の本人特定事項について申告を受けることとされています(犯罪収益移転防止法施行規則11条1項)。
問題 3 / 24
実質的支配者の判断方法は、その法人が資本多数決法人か、資本多数決法人以外の法人かによって異なる。
資本多数決法人であるか否かによって、どのように実質的支配者を特定するかの判断方法が変わります。
問題 4 / 24
ある法人について実質的支配者を調べたところ、当てはまる自然人が何人もいた場合には、そのうちの1名を法人に選んで定めてもらう必要がある。
該当する自然人が複数いた場合には、そのすべてが実質的支配者に該当します。1名に絞ってもらうわけではありません。
問題 5 / 24
実質的支配者の該当性は原則として取引時点で判断するが、直近の株主総会開催時など、合理的な範囲で近接した時点の状況によって判断することも認められる。
原則は取引時点での該当性の判断ですが、直近の株主総会開催時等の合理的な範囲で近接した時点の状況により判断することも認められています。
問題 6 / 24
実質的支配者を判断する際の「資本多数決法人」には株式会社は含まれるが、投資法人は含まれない。
資本多数決法人には、株式会社のほか投資法人なども含まれます。
問題 7 / 24
実質的支配者は、法人を支配している法人であってもよく、必ずしも自然人にまで遡って特定する必要はない。
実質的支配者は、議決権その他の手段によって法人を支配する自然人にまで遡って確認するものであり、法人止まりにはしません。
問題 8 / 24
犯罪収益移転防止法等でいう「代表者等」とは、法人の登記上の代表権を有する役員のみを指す。
「代表者等」とは、取引の任に当たっている自然人を指します。登記上の代表者に限られるものではありません。
問題 9 / 24
実質的支配者の本人特定事項の確認方法は、通常の特定取引か、厳格な取引時確認を要する取引かによって異なる。
取引がどちらであるかにより、実質的支配者の本人特定事項の確認方法が変わります。
問題 10 / 24
通常の特定取引の場合、実質的支配者については、その法人の代表者等に本人特定事項を申告してもらう形で確認する。
通常の特定取引では、法人の代表者等から実質的支配者の本人特定事項の申告を受けることで確認します。
問題 11 / 24
厳格な取引時確認では、株主名簿や登記事項証明書などの書類でチェックしたうえで、実質的支配者の本人特定事項を法人に申告してもらう。
厳格な取引時確認では、資本多数決法人なら株主名簿、それ以外なら登記事項証明書等の書類を確認したうえで、法人から申告を受けます。
問題 12 / 24
持分会社である合名会社・合資会社・合同会社は、実質的支配者を確認する際、「資本多数決法人」として判断する。
持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)は、「資本多数決法人以外の法人」として判断します。
問題 13 / 24
一般社団法人や宗教法人、医療法人などは、実質的支配者の特定にあたって「資本多数決法人以外の法人」に分類される。
一般社団・財団法人、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人などは、資本多数決法人以外の法人に当たります。
問題 14 / 24
資本多数決法人以外の法人では、通常の特定取引であっても、実質的支配者の確認に必ず登記事項証明書等の書類が必要となる。
通常の特定取引では、法人の代表者等から申告を受ける方法で確認します。書類の確認が求められるのは厳格な取引時確認の場合です。
問題 15 / 24
特定目的会社は、実質的支配者の特定にあたり「資本多数決法人以外の法人」に区分される。
特定目的会社は、株式会社や投資法人などと同じく「資本多数決法人」として判断します。
問題 16 / 24
「代表者等」とは、法人の代表権を有する役員のみを指し、実際に取引の任に当たっている担当者は含まれない。
「代表者等」とは、取引の任に当たっている自然人を指します。代表権の有無だけで決まるものではありません。
問題 17 / 24
資本多数決法人の実質的支配者を確認する際に基準となる議決権の保有割合は、10%である。
資本多数決法人で確認する議決権の保有割合の基準は「25%超」です。
問題 18 / 24
議決権の保有割合を判定する際は、直接保有している分と間接保有している分を合計して計算する。
議決権の計算にあたっては、直接保有と間接保有を合計することになります(犯罪収益移転防止法施行規則11条2項)。
問題 19 / 24
資本多数決法人では、まず議決権を25%超保有する自然人がいるかを確認し、いない場合に、出資・融資・取引その他の関係を通じて実質的な影響力を持つ自然人を確認する。
まず議決権25%超の自然人を確認し、いなければ事業活動に実質的な影響力を持つ自然人を確認する、という順序で特定します。
問題 20 / 24
資本多数決法人で、議決権を25%超持つ自然人も、実質的な影響力を持つ自然人も見当たらないときは、その会社を代表して業務を担う自然人が実質的支配者に当たる。
25%超の議決権を持つ自然人も、影響力を持つ自然人もいないときは、最終的に法人を代表して業務を執行する自然人が実質的支配者となります。
問題 21 / 24
資本多数決法人以外の法人では、収益総額の25%超の配当を受ける自然人がいる場合に限って、事業活動に実質的な影響力を持つ自然人を確認すればよい。
資本多数決法人以外の法人では、影響力を持つ自然人は、25%超の配当を受ける自然人の有無にかかわらず常に確認することを要します。
問題 22 / 24
資本多数決法人以外の法人では、収益総額の25%超の配当を受ける自然人、または事業活動に実質的な影響力を持つと認められる自然人が実質的支配者となる。
いずれかに該当する自然人が実質的支配者となります(犯罪収益移転防止法施行規則11条2項3号)。
問題 23 / 24
資本多数決法人以外の法人で、収益総額の25%超の配当を受ける自然人がいれば、ほかに50%超の配当を受ける自然人がいても、25%超の者が実質的支配者となる。
ほかに収益総額の50%超の配当を受ける自然人がいる場合は、25%超の者は実質的支配者に該当せず、50%超の配当を受ける自然人が実質的支配者となります。
問題 24 / 24
資本多数決法人では、事業経営を支配する意思または能力を有しないことが明らかな場合であっても、議決権を25%超保有していれば必ず実質的支配者となる。
議決権を25%超保有していても、事業経営を支配する意思または能力を有しないことが明らかなときは、実質的支配者から除かれます。
第6章 顧客管理
第6章 顧客管理
実質的支配者の顧客管理
問正解 / 24問中
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✅ まとめ・要点整理

第6章⑥まとめ:実質的支配者の顧客管理
  • 実質的支配者=事業経営を実質的に支配できる自然人(法人でなく自然人まで遡る)。複数いれば全員が該当(1名に絞らない)。確認は原則、代表者等(取引の任に当たる自然人)からの申告。該当性は原則取引時点だが、直近の株主総会時など近接時点でも可。
  • 確認方法=通常の特定取引は申告/厳格な取引時確認は書類(株主名簿・登記事項証明書等)の確認+申告。取引の種類で使い分ける。
  • 法人の種類=資本多数決法人(株式会社・投資法人・特定目的会社など)と資本多数決法人以外(持分会社=合名・合資・合同会社、一般社団・財団・学校・宗教・医療・社会福祉法人、NPO法人など)。持分会社は「以外」なので注意。
  • 資本多数決法人=議決権25%超の自然人→影響力を持つ自然人→代表執行者の順で特定。議決権は直接+間接を合計。事業経営を支配する意思・能力がないことが明らかな者は除く。
  • 資本多数決法人以外=収益総額の25%超の配当を受ける自然人か、影響力を持つ自然人(常に確認)。50%超の配当を受ける自然人がいれば、その者が優先し、25%超の者は該当しない。
【頻出ひっかけ】
・実質的支配者が複数いたら1名を選んでもらう → ✕(全員が該当)
・議決権の基準は10% → ✕(25%超)
・持分会社は「資本多数決法人」 → ✕(資本多数決法人“以外”)
・実質的支配者は法人でもよい → ✕(自然人まで遡る)

試験、頑張ってください‼

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