2026年6月、警察庁が2025年(令和7年)の詐欺被害の確定値を公表しました。特殊詐欺の被害額は約1,423億円と、前年のおよそ2倍(+98.0%)に急増。なかでも「警察官をかたるニセ警察詐欺」が爆発的に増えています。さらにSNSを入り口にした投資詐欺は約1,288億円、ロマンス詐欺は約546億円。手口は年々巧妙になり、いまやAIまで使われるようになりました。
この記事では、いま実際に多い詐欺の手口を、警察庁・金融庁などの公式情報をもとにやさしく整理し、自分と家族を守るためのポイントと、困ったときの公式相談窓口をまとめます。
そもそも:身近な詐欺と「マネー・ローンダリング」はつながっている
マネー・ローンダリング(資金洗浄)とは、犯罪で得たお金を、出どころを隠して“きれいなお金”に見せかける行為です。詐欺で集めたお金は、他人名義の口座を通したり、暗号資産に換えたりして“足がつかない”ように動かされます。
だからこそ、私たち一人ひとりが「だまされない」「口座を渡さない」ことが、犯罪組織の資金の流れを断ち切る第一歩になります。詐欺対策とマネロン対策は、じつは同じ問題の表と裏なのです。
2025年の最新データ(被害はほぼ2倍に)
| 区分(2025年・確定値) | 認知件数 | 被害額 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 特殊詐欺 | 27,832件 | 約1,423億円 | 前年比+98.0%=ほぼ2倍 |
| └ うち ニセ警察詐欺 | 11,014件 | 約1,005億円 | オレオレ詐欺の74.9%=最大の手口 |
| SNS型投資詐欺 | 9,523件 | 約1,288億円 | 被害額+47.9% |
| SNS型ロマンス詐欺 | 5,645件 | 約546億円 | +36.3%・暗号資産送金が+177% |
いま多い詐欺の手口
1. ニセ警察詐欺(警察官をかたる)── いま最大の手口
「あなたの口座が事件に使われている」「逮捕状が出ている」などと電話やビデオ通話で迫り、“捜査のため”“資産を保全するため”と称してお金を振り込ませる手口です。実在する警察署の電話番号を偽装して表示させたり、ニセの警察手帳や逮捕状の画像を送ってくることもあります。
ポイント:本物の警察官が、個人のスマホにいきなりビデオ通話をかけたり、手帳・逮捕状の画像を送ることはありません。不審な連絡はすぐ切り、自分で調べた警察署の電話番号にかけ直して確認しましょう。
2. SNS型投資詐欺
「必ず儲かる投資法を教えます」などとSNSやメッセージアプリへ誘導し、“投資金”や“手数料”の名目でお金を振り込ませます。著名人の写真を無断で使った広告も増えています。
ポイント:SNSで知り合った相手からの投資話、「必ず」「あなただけ」「今だけ」は強く疑ってください。
3. SNS型ロマンス詐欺
マッチングアプリやSNSで恋愛感情・親近感を抱かせ、結婚資金などを口実に送金させる手口です。2025年は暗号資産での送金が急増しました。
ポイント:会ったことのない相手への送金・暗号資産購入は絶対にしない。一度払うと「取り返すため」に何度も払わされ、高額被害になりがちです。
4. フィッシング詐欺
銀行などをかたる偽メール・偽SMSで、本物そっくりの偽サイトに誘導し、入力させたID・パスワードで口座から不正送金します。
ポイント:金融機関がメールやSMSでID・パスワードの入力を求めることはありません。リンクは踏まず、公式アプリやブックマークからアクセス。
5. サポート詐欺(偽のウイルス警告)
パソコンに「ウイルスに感染しました」という偽の警告とニセのサポート窓口を表示させ、電話してきた人から修理費名目でお金をだまし取ります。
ポイント:警告画面の番号には電話しない。画面はブラウザごと閉じる。OSやソフトは最新に保つ。
6. オンラインカジノ
海外で合法的に運営されているサイトでも、日本国内からアクセスして賭ければ「賭博罪」などの犯罪になります。入出金の決済に関わったり、人を誘ったりするだけでも罪に問われることがあります。
ポイント:オンライン上の賭博は、名称や内容にかかわらずすべて犯罪です。
7. 銀行口座の売買・譲渡 ── マネロンと直結
SNSで「口座を高価買取」などとうたい、口座を売買・貸し借りさせる手口です。受け渡した口座は、特殊詐欺の入金先やマネー・ローンダリングに悪用されます。
ポイント:売る側も買う側も罪に問われます。一度名義が悪用されると、凍結口座名義人リストに載り、ほかの金融機関でも新規口座開設を断られることがあります。
巧妙化する最新トレンド(とくに注意)
手口は毎年“進化”しています。2025〜2026年にかけて、とくに警戒されているポイントを挙げます。
AIによる音声・ビデオのなりすまし
わずか数秒の音声から声を複製したり、ビデオ通話中に顔をすり替えたりする技術が、一般のパソコンでも使えるようになっています。“本人そっくりの声”や“制服姿”でも、それだけで信用しないことが大切です。
※「方言や地元の事情まで使い分ける」といった話も聞かれますが、これは公式に確認された情報ではありません。ただ、AIで“それらしさ”を作るのは技術的に可能なので、声や映像を理由に信じ込まないようにしましょう。
にせ税務職員・税務署をかたる手口
国税庁も「にせ税務職員」に注意を呼びかけています。税務調査やアンケートを装って電話・メール・訪問で近づき、口座情報や家族構成を聞き出したり、現金・キャッシュカードを持ち去ったりする事例が報告されています。
ポイント:役所や税務署が、電話やメールでお金や暗証番号を求めることはありません。在籍確認は、自分で調べた代表番号にかけ直して確認しましょう。
遠くの県の警察を名乗る/LINEへの誘導
「わざと遠方の県警を名乗る」のも、その場で確認させないための常とう手段です。また、最初は電話でも、途中から“LINE”など個人のメッセージアプリに誘導し、1対1で囲い込んで判断力を奪うパターンが目立ちます。
ポイント:公的機関が、LINEなどの個人アプリで連絡や手続きを求めることはありません。
ランサムウェアと暗号資産
会社のデータを暗号化して“身代金”を要求するランサムウェアでは、支払いに暗号資産が使われ、そのお金がマネー・ローンダリングされます。個人だけでなく、職場ぐるみで備えるべきサイバー犯罪です。
自分と家族を守る5つの習慣
- いったん切る・自分からかけ直す:「お金」「投資」「逮捕」の話が出たら、相手の番号ではなく、自分で調べた公式番号にかけ直して確認。
- リンクから入力しない:ID・パスワードはメールやSMSのリンク先で入力せず、公式アプリ・ブックマークから。
- 「うまい話」を疑う:「必ず」「あなただけ」「今だけ」は詐欺の合図。
- 口座・通帳・カードを渡さない:他人に渡す・売るのは犯罪に加担することになります。
- 一人で抱えない:少しでも不安なら、家族や下の相談窓口へ。
困ったとき・あやしいときの公式相談窓口
「これって詐欺かも?」と思ったら、ためらわず公式の窓口に相談しましょう。早いほど被害を防げます。
- 消費者ホットライン 188(いやや!):お住まいの消費生活センターにつながる全国共通番号。契約・お金のトラブル全般の相談に。
- 警察相談専用電話 #9110:事件・事故になる前の相談に(緊急時は110番)。
- 金融機関をかたる連絡:いったん電話を切り、通帳やキャッシュカード裏面に記載の公式番号にかけ直す。
- フィッシング・偽サイト:各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口へ。
自分を守ることが、職場とお客様を守る
金融機関で働く方にとって、これは“他人事”ではありません。自分が手口を知って身を守ることが、職場の金融機関を守り、お客様を守り、ひいては詐欺の撲滅の一助になります。窓口やコールセンターでの“ちょっとした違和感”が、被害を未然に防いだ例はたくさんあります。日ごろから、手口に対する感度を高めておきましょう。
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