今回は第3章 国内法規制の「テロ等準備罪」と「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)」から合計16問(2単元×8問)を出題します。 「TOC条約を結ぶために、テロ等準備罪という国内法を作った」――この2つはセットで覚えると一気に整理できます。
- テロ等準備罪は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)6条の2に設けられた犯罪類型。国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するため、2017年に改正組織的犯罪処罰法で創設された
- テロ等準備罪が成立するには3つの要件がそろう必要がある=①組織的犯罪集団の関与/②犯罪の実行を2人以上で「計画」/③計画に基づく「実行準備行為」。挙げられるすべての要件に「故意」が必要
- 組織的犯罪集団=重大な犯罪等を行うことを目的とするテロ集団・暴力団・薬物密売組織等。その要件は①多数人の継続的な集団②犯罪実行部隊を有する③重大な犯罪等の実行を目的とする、の3つすべてを満たすこと(「いずれか一つ」はひっかけ)
- 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)=国際的な組織犯罪を未然に防止する国連条約。日本は2017年7月11日に締結済み(効力発生2017年8月10日)。「日本は先進国で唯一未締結」は誤り
- TOC条約締結の3つのメリット=①条約締結国との情報交換(情報収集での連携)/②犯罪人引渡し(逃亡犯罪人の引渡し)の実効性向上/③捜査共助(外交ルートに頼らず捜査・司法当局間で直接やりとり)。共助を拒否する場合は要請国に拒否理由の明示が必要
一方は国内法、もう一方は国際条約です。下の表で役割の違いとつながりをつかみましょう。
| テロ等準備罪 | 国際組織犯罪防止条約(TOC条約) | |
|---|---|---|
| 正体 | 日本の国内法(組織的犯罪処罰法6条の2の犯罪類型) | 国際連合の条約(国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約) |
| ねらい | 組織的犯罪集団による重大犯罪を実行前の段階で検挙・処罰する | テロを含む組織犯罪を国際的に連携して未然防止する |
| 時期 | 2017年6月成立・7月施行 (改正組織的犯罪処罰法) | 日本は2017年7月11日に締結 (効力発生2017年8月10日) |
| 関係 | TOC条約を締結する条件として新設 | テロ等準備罪などの新設を受け、4つの国連条約とともに締結が可能に |
テロ等準備罪が成立する3つの要件(すべて必要)
- ①組織的犯罪集団の関与=重大な犯罪等を行うことを目的とするテロ集団・暴力団・薬物密売組織等が関わること
- ②犯罪の実行を2人以上で「計画」=指揮命令のもと役割を分担し、具体的かつ実現可能性のある計画をすること(単独・漠然とした相談では足りない)
- ③計画に基づく「実行準備行為」=犯罪を実行するための資金の準備など、計画とは別に計画を前進させる行為が行われること
⚠ ここを問われやすい(要件の「中身」)
- 組織的犯罪集団に当たるには、①多数人の継続的な集団②犯罪実行部隊を有する③重大な犯罪等の実行を目的とする、の3つすべてを満たす必要がある(「いずれか一つ」はひっかけ)
- 実行準備行為は、①計画とは別の行為②計画に基づく行為③計画を前進させる行為、の3つすべてを満たす必要がある(「計画と一体の行為」では足りない)
TOC条約を締結した3つのメリット
- ①情報交換=テロ等の組織犯罪に関する情報収集について、条約締結国と情報交換を行うなど、国際社会と連携できる
- ②犯罪人引渡し=日本に潜伏する他国のテロ集団構成員を拘束してその国に引き渡すなど、逃亡犯罪人の引渡しの実効性が高まる(相手は締結国)
- ③捜査共助=捜査・刑事裁判で用いる証言や証拠物などを、外交ルートに頼ることなく、捜査・司法当局間で直接やりとりできる
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問題 1 / 16
テロ等準備罪は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)6条の2に設けられた犯罪類型であり、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するために設けられたものである。
テロ等準備罪は組織的犯罪処罰法6条の2(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)に規定された犯罪類型で、TOC条約を締結するために2017年に創設されました(改正組織的犯罪処罰法)。
問題 2 / 16
テロ等準備罪は、犯罪の実行を「単独で」計画した場合にも成立し、その計画は具体的なものでなく漠然とした相談であっても足りる。
テロ等準備罪は、犯罪の実行を2人以上で「計画」することが必要で、指揮命令のもと役割を分担した、具体的かつ実現可能性のある計画でなければなりません。単独や漠然とした相談では成立しません。
問題 3 / 16
テロ等準備罪の成立には「組織的犯罪集団」の関与が必要であり、組織的犯罪集団とは、重大な犯罪等を行うことを目的とするテロ集団や暴力団、薬物密売組織等を指す。
組織的犯罪集団とは、重大な犯罪等を行うことを目的とするテロ集団・暴力団・薬物密売組織等をいい、その関与がテロ等準備罪の成立要件の一つです。
問題 4 / 16
組織的犯罪集団に当たるというためには、「多数人の継続的な集団であること」「犯罪実行部隊を有していること」「重大な犯罪等を実行することを目的として集まっていること」のうち、いずれか一つを満たせばよい。
組織的犯罪集団の要件は、①多数人の継続的な集団であること②犯罪実行部隊を有していること③重大な犯罪等を実行することを目的として集まっていること、の3つすべてを満たす必要があります。「いずれか一つ」は誤りです。
問題 5 / 16
テロ等準備罪の成立要件として挙げられるすべての要件については、「故意」であることが必要となる。
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の関与・計画・実行準備行為のいずれの要件についても「故意」であることが必要で、過失で成立することはありません。
問題 6 / 16
テロ等準備罪における「実行準備行為」は、計画そのものと一体の行為であれば足り、計画とは別の行為である必要はない。
実行準備行為は、①計画とは別の行為であること②計画に基づく行為であること③計画を前進させる行為であること、の3つすべてを満たす必要があります。計画と一体の行為では足りません。
問題 7 / 16
テロ等準備罪の成立には、計画した犯罪の「実行準備行為」が必要であり、実行準備行為には、犯罪を実行するための資金の準備などが挙げられる。
実行準備行為とは、計画に基づき計画を前進させる行為で、犯罪を実行するための資金の準備などが該当します。これがそろってはじめてテロ等準備罪が成立します。
問題 8 / 16
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が重大犯罪を計画して実行準備行為を行った場合でも、その犯罪が実際に実行された後でなければ検挙・処罰することはできない。
テロ等準備罪により、組織的犯罪集団が計画し実行準備行為を行えば、犯罪が実際に実行される前の準備段階で検挙・処罰することが可能になりました。
問題 9 / 16
国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約であり、テロを含む組織犯罪を未然に防止するための国際的な枠組みである。
TOC条約は「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」で、テロを含む組織犯罪を国際社会が連携して未然に防止するための枠組みです。
問題 10 / 16
TOC条約は国際連合加盟国の大半が締結しているが、日本は先進国のなかで唯一、いまだ条約を締結していない国となっている。
日本は、テロ等準備罪などが新設されたことを受けて2017年7月11日にTOC条約を締結しています(効力発生は2017年8月10日)。「先進国で唯一未締結」は誤りです。
問題 11 / 16
日本は、テロ等準備罪などが新設されたことを受けて、TOC条約を含む4つの国連条約を締結することが可能となり、2017年にこれらの条約を締結した。
テロ等準備罪などの新設により、日本はTOC条約を含む4つの国連条約を締結できるようになり、2017年7月11日に締結しました(効力発生2017年8月10日)。
問題 12 / 16
TOC条約の締結により、テロ等の組織犯罪に関する情報収集について、条約締結国と情報交換を行うなど、国際社会と連携することが可能となっている。
条約締結国との情報交換により、テロ等の組織犯罪に関する情報収集について、これまで以上に国際社会と連携できるようになりました。
問題 13 / 16
TOC条約を締結しても、捜査・刑事裁判で用いる証言や証拠物のやりとりは必ず外交ルートを経由しなければならず、捜査・司法当局間で直接やりとりすることはできない。
TOC条約により、捜査・刑事裁判で用いる証言や証拠物などを、外交ルートに頼ることなく捜査・司法当局間で直接やりとり(捜査共助)できるようになりました。
問題 14 / 16
TOC条約に基づく捜査共助について、要請を受けた締結国が共助の実施を拒否する場合には、要請した締結国に対して、その拒否する理由を明示しなければならない。
共助の要請を受けた締結国が共助の実施を拒否する場合には、要請した締結国に対して拒否する理由を明示しなければならないとされています。
問題 15 / 16
TOC条約の締結により行われる犯罪人引渡しは、条約を締結していない国との間でも、相手国の同意を得ることなく一方的に行うことができる。
犯罪人引渡し(逃亡犯罪人の引渡し)の実効性が高まるのは条約締結国との間です。締結国に限られ、未締結国との間で相手国の同意なく一方的に行えるわけではありません。
問題 16 / 16
TOC条約を締結しても、条約締結国との間で得られる実務上の効果は情報交換に限られ、犯罪人引渡しや捜査共助の実効性が高まることはない。
TOC条約の効果は情報交換に限られません。犯罪人引渡し(逃亡犯罪人の引渡し)の実効性が高まり、捜査共助も外交ルートに頼らず直接行えるようになります。

第3章 国内法規制
テロ等準備罪・国際組織犯罪防止条約(TOC条約)
テロ等準備罪・国際組織犯罪防止条約(TOC条約)
問正解 / 16問中
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第3章③まとめ:テロ等準備罪/国際組織犯罪防止条約(TOC条約)
- テロ等準備罪=組織的犯罪処罰法6条の2の犯罪類型。国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するため、2017年に改正組織的犯罪処罰法で創設(実行前の段階で検挙・処罰が可能に)
- テロ等準備罪の成立要件は3つそろって必要=①組織的犯罪集団の関与②犯罪の実行を2人以上で「計画」③計画に基づく「実行準備行為」。挙げられるすべての要件に「故意」が必要
- 組織的犯罪集団(テロ集団・暴力団・薬物密売組織等)も実行準備行為も、判断要件は3つすべてを満たすことが必要(「いずれか一つ」「計画と一体の行為」はひっかけ)
- 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)=組織犯罪を未然防止する国連条約。日本は2017年7月11日に締結済み(効力発生2017年8月10日)。「先進国で唯一未締結」は誤り
- TOC条約締結の効果=①情報交換②犯罪人引渡しの実効性向上③捜査共助(外交ルートに頼らず直接)。共助を拒否する場合は要請国に拒否理由を明示しなければならない
「テロ等準備罪=組織的犯罪集団・2人以上の計画・実行準備行為の3つがそろって成立/すべて故意が必要」「TOC条約=日本は2017年に締結済み(“先進国で唯一未締結”はひっかけ)・情報交換/犯罪人引渡し/捜査共助の実効性が高まる」――ここが頻出です! 試験、頑張ってください‼
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