今回は第3章 国内法規制から、「国内法の全体像」「金融庁の取組み」「金融庁のモニタリング」の3単元・合計24問(3単元×8問)です。 ここまで学んだ法律を地図のように整理し、最後に金融庁が何をどう見ているかまでつかみましょう。
- わが国のマネー・ローンダリング対策の法制度は、移転を防ぐ防止規定(犯収法・外為法)と、処罰・収益の剥奪を担う取締規定(組織的犯罪処罰法・麻薬特例法・テロ資金提供処罰法・外為法・国際テロリスト等財産凍結法)に大別される
- 資金移動業は銀行等の免許がなくても営める(登録制)。第2種資金移動業は内閣総理大臣の登録で1回100万円相当額以下の為替取引ができる
- 本人確認法は犯収法の全面施行に伴い2008年に廃止(いまは効力なし)。組織犯罪対策要綱の「暴力団等」は暴力団対策法の定義より広い
- 金融庁は2024年7月に金融犯罪対策室を設置(特殊詐欺・SNS型投資/ロマンス詐欺・フィッシング被害の拡大が背景)。金融犯罪対策は協調領域(競争領域ではない)
- 金融庁ガイドラインは立入検査の具体的な手法は示していない。金融庁のモニタリングはリスクの高低に応じて資源を配分し、フォワード・ルッキングに実施。NRAも踏まえる
- 金融庁がヒアリングする項目に「外部専門家の採用状況」は含まれない(届出件数・内部監査や研修・特定事業者作成書面等・経営陣への報告や議論の状況、が対象)
わが国のマネー・ローンダリング対策の法律は、大きく2つの役割に分けると覚えやすくなります。
| 防止規定 | 取締規定 | |
|---|---|---|
| ねらい | 犯罪収益の移転を防ぐ | マネロン等の処罰・収益の剥奪 |
| 代表的な法律 | 犯罪収益移転防止法(犯収法) 外国為替及び外国貿易法(外為法) | 組織的犯罪処罰法/麻薬特例法 テロ資金提供処罰法/外為法 国際テロリスト等財産凍結法 |
| イメージ | 入口で食い止める | 入ってきた汚れたお金を取り上げる・罰する |
全体像でおさえる細かい論点
- 資金移動業は銀行等の免許がなくても営める(登録制)。第2種資金移動業は内閣総理大臣の登録で1回100万円相当額以下の為替取引ができる(資金決済法)
- 本人確認法は、犯収法の全面施行に伴い2008年に廃止され、いまは効力をもたない
- 麻薬特例法は、薬物犯罪から得られた収益への対策を主眼に1992年から施行された、日本のマネー・ローンダリング法制の原点ともいえる法律
- 組織犯罪対策要綱の「暴力団等」(暴力団・暴力団員・準構成員・関係企業・総会屋等・特殊知能暴力集団等)は、暴力団対策法の暴力団の定義より広い
金融庁の取組みでのひっかけ
- 金融庁ガイドラインは、立入検査の具体的な手法までは示していない(業界団体・関係省庁・外国当局との連携で情報収集を強化、という方向性を示す)
- 金融犯罪対策は「協調領域」(「競争領域」ではない)
- 2025事務年度 金融行政方針は、ルールベース・アプローチによる態勢高度化の促進には言及していない
- 2024年7月に新設されたのは「金融犯罪対策室」(「企画室」は2018年2月設置で、それを改組したもの)
金融庁がヒアリングする項目(リスクベース・アプローチの実効性向上のため)
- 疑わしい取引の届出件数(国・地域別、顧客属性別等の内訳)
- 内部監査や研修等(関係する資格の取得状況を含む)の実施状況
- 特定事業者作成書面等
- マネー・ローンダリング対策リスク管理についての経営陣への報告や、経営陣の議論の状況
- ⚠「外部専門家の採用状況」は、ガイドラインにヒアリング・モニタリングの記述がなく対象外(よくある誤り)
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問題 1 / 24
資金決済に関する法律(資金決済法)における資金移動業を営むためには、銀行等の免許を受けなければならない。
資金移動業は、銀行等の免許を受けていなくても、内閣総理大臣の登録を受ければ営むことができます(登録制)。免許は必要ありません。
問題 2 / 24
第2種資金移動業は、あらかじめ内閣総理大臣の登録を受けていれば、1回当たり100万円相当額以下の為替取引を行うことができる。
第2種資金移動業は、事前に内閣総理大臣の登録を受けることで、1回当たり100万円相当額以下の為替取引を行うことができます。
問題 3 / 24
金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律(本人確認法)は、現在もマネー・ローンダリング対策に関する国内法規制として効力を有している。
本人確認法は、犯罪収益移転防止法等の全面施行に伴い、2008年に廃止されています。現在は効力をもちません。
問題 4 / 24
組織犯罪対策要綱で定める「暴力団等」は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)における暴力団の定義と同じ範囲である。
組織犯罪対策要綱の「暴力団等」は、暴力団・暴力団員のほか、準構成員・関係企業・総会屋等・特殊知能暴力集団等を含み、暴力団対策法の暴力団の定義より広い範囲です。
問題 5 / 24
組織犯罪対策要綱で定める「暴力団等」には、暴力団や暴力団員のほか、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、特殊知能暴力集団等も含まれる。
組織犯罪対策要綱の「暴力団等」には、暴力団・暴力団員・準構成員・関係企業・総会屋等・社会運動等標ぼうゴロ・特殊知能暴力集団等が含まれます。
問題 6 / 24
麻薬特例法は、薬物犯罪から得られた収益への対策を主眼に施行された法律である。
麻薬特例法(麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)は、薬物犯罪から得られた収益への対策を主眼に施行された法律です。
問題 7 / 24
わが国のマネー・ローンダリング対策の法制度は、犯罪収益の移転を防ぐ「防止規定」と、その処罰や犯罪収益の剥奪などを担う「取締規定」に大きく分けられる。
わが国の法制度は、移転を防ぐ防止規定(犯収法・外為法)と、処罰や収益の剥奪を担う取締規定(組織的犯罪処罰法・麻薬特例法等)に大きく分けられます。
問題 8 / 24
国際テロリスト等財産凍結法は、犯罪収益の移転を防止する「防止規定」に分類される。
国際テロリスト等財産凍結法は、処罰や犯罪収益の剥奪等を担う「取締規定」に分類されます。防止規定は犯収法と外為法です。
問題 9 / 24
金融庁ガイドラインには、金融当局が金融機関等に立入検査を行う際の、マネー・ローンダリング対策に関する具体的な手法が示されている。
金融庁ガイドラインでは、具体的な手法は提示していません。業界団体・関係省庁・外国当局との連携で情報収集を強化する、という方向性が示されています。
問題 10 / 24
金融庁が公表した「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2025年6月)」では、金融犯罪対策を金融機関間の「競争領域」と位置づけている。
同資料では、金融犯罪対策は業界全体で底上げを図り犯罪組織を排除していく「協調領域」であると位置づけられています。「競争領域」ではありません。
問題 11 / 24
金融庁は2024年7月、従来のマネー・ローンダリング・テロ資金供与対策企画室を改組する形で、新たに「金融犯罪対策室」を設置した。
金融庁は2024年7月、2018年2月に設置した企画室を改組する形で、新たに「金融犯罪対策室」を設置しました。
問題 12 / 24
「金融犯罪対策室」が設置された背景には、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、フィッシングによる被害の拡大がある。
特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、フィッシングによる被害の拡大を踏まえ、企画室を改組して「金融犯罪対策室」が設置されました。
問題 13 / 24
2025事務年度 金融行政方針では、ルールベース・アプローチによる管理態勢の高度化を促進することが示されている。
2025事務年度 金融行政方針の本文には、「ルールベース・アプローチ」による管理態勢についての言及はありません。
問題 14 / 24
金融庁が公表した「マネー・ローンダリング等対策の取組と課題(2025年6月)」では、詐欺等の金融犯罪の急増を踏まえた金融機関等の対応の必要性が示されている。
同資料では、詐欺等の金融犯罪の急増を踏まえ、金融機関等が他の金融機関との情報共有・連携強化を図っていく必要があることが示されています。
問題 15 / 24
マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策企画室は、2024年7月に新設された。
企画室は2018年2月に設置されています。2024年7月は、その企画室を改組して「金融犯罪対策室」が設置された時期です。
問題 16 / 24
金融庁は、従前以上に業界団体や関係省庁、外国当局との連携を深めて情報収集を強化していくとしている。
金融庁は、業界団体・関係省庁・外国当局との連携を深めて情報収集を強化し、収集した優良事例等を金融機関等と共有していくとしています。
問題 17 / 24
金融庁は、「疑わしい取引の届出件数(国・地域別、顧客属性別等の内訳)」のヒアリング等を行うことで、リスクベース・アプローチの実効性の向上を図るとしている。
疑わしい取引の届出件数(その内訳を含む)のヒアリング等は、監督当局によるリスクベース・アプローチの実効性向上のために行われます。
問題 18 / 24
金融庁は、「外部専門家の採用状況」のヒアリング等を行うことで、リスクベース・アプローチの実効性の向上を図るとしている。
金融庁ガイドラインには、「外部専門家の採用状況」に関するヒアリング・モニタリングの記述はありません(ヒアリングの対象は、疑わしい取引の届出件数・内部監査や研修等の実施状況・特定事業者作成書面等・経営陣への報告や議論の状況です)。
問題 19 / 24
金融庁は、「内部監査や研修等(関係する資格の取得状況を含む)の実施状況」のヒアリング等を行うとしている。
内部監査や研修等(関係する資格の取得状況を含む)の実施状況は、金融庁がヒアリング等を行う項目の一つです。
問題 20 / 24
金融庁のモニタリングは、すべての金融機関等に対して一律・均一の深度で行われる。
金融庁は、金融システム全体を俯瞰してリスクを特定・評価し、リスクの高低に応じて資源を配分して、実効的・効率的なモニタリングを行います。一律・均一ではありません。
問題 21 / 24
金融庁は、「マネー・ローンダリング対策リスク管理についての経営陣への報告や、必要に応じた経営陣の議論の状況」のヒアリング等も行うとしている。
経営陣への報告や、必要に応じた経営陣の議論の状況も、金融庁がヒアリング等を行う項目の一つです。
問題 22 / 24
金融庁は、過去に生じた事象のみに着目し、将来を見据えた(フォワード・ルッキングな)モニタリングは行わないとしている。
金融庁は、フォワード・ルッキングな(将来を見据えた)モニタリングに活用していくとしています。過去のみに着目するわけではありません。
問題 23 / 24
金融庁は、公表された犯罪収益移転危険度調査書(NRA)も踏まえて、金融機関等に対するリスクベース・アプローチに基づくモニタリングを実施する。
金融庁は、金融機関等の監督当局として、国家公安委員会が公表するNRAも踏まえて、リスクベース・アプローチに基づくモニタリングを実施します。
問題 24 / 24
金融庁のモニタリングは個別の金融機関等への対応に限られ、業界団体や外国当局と連携することはない。
金融庁は、業界団体・関係省庁・外国当局との連携(官民連携)を深め、情報収集の強化や優良事例の共有を進めるとしています。

第3章 国内法規制
全体像・金融庁の取組み・モニタリング
全体像・金融庁の取組み・モニタリング
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第3章⑤まとめ:国内法の全体像/金融庁の取組み・モニタリング
- 法制度は防止規定(犯収法・外為法=入口で止める)と取締規定(組織的犯罪処罰法・麻薬特例法・テロ資金提供処罰法・外為法・国際テロリスト等財産凍結法=処罰・剥奪)に大別
- 資金移動業は銀行等の免許不要(登録制)。第2種資金移動業は内閣総理大臣の登録で1回100万円相当額以下の為替取引が可能
- 本人確認法は2008年に廃止(いまは効力なし)。麻薬特例法は薬物犯罪収益への対策が主眼。組織犯罪対策要綱の「暴力団等」は暴力団対策法より広い
- 金融庁は2024年7月に金融犯罪対策室を設置(特殊詐欺・SNS型投資/ロマンス詐欺・フィッシング被害が背景)。金融犯罪対策は協調領域
- 金融庁ガイドラインは立入検査の具体的手法は示さず、ルールベース・アプローチの高度化促進も金融行政方針に記載なし
- 金融庁のモニタリングはリスクの高低で資源配分・フォワード・ルッキング・NRAも踏まえる。ヒアリング項目に「外部専門家の採用状況」は含まれない
「法制度=移転を防ぐ“防止規定”(犯収法・外為法)と、処罰・剥奪の“取締規定”に大別」「金融庁=2024年7月に金融犯罪対策室/金融犯罪対策は“協調領域”」「モニタリング=リスクの高低で資源配分・フォワードルッキング・NRAも踏まえる/“外部専門家の採用状況”は対象外」――ここが頻出です! 試験、頑張ってください‼
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