第3章 国内法規制【2026年度対応】|⑥ 金融庁ガイドライン①②(一問一答)

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今回は第3章 国内法規制のしめくくり、「金融庁ガイドライン」から合計16問(2単元×8問)です。
ガイドラインはAML/CFT実務の“教科書”。①基本的な考え方と、②金融機関に求める取組み・位置づけ、の順に整理します。
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📌 今回のポイント

  • リスクベース・アプローチによるリスク管理態勢の構築・維持は、FATF勧告の中心的項目であり、金融庁ガイドラインでは当然に実施すべき事項(ミニマム・スタンダード)とされる(「可能な範囲で実施するのが望ましい」ではない)
  • 金融庁ガイドラインは、モニタリングの指針として対応が求められる事項を掲げる(「対応が禁止されている事項」ではない)
  • 海外送金等の業務を行う金融機関等は、国内の動向のみならず外国当局による監督も含め国際的な動向を十分に踏まえた対応が求められる
  • 法令違反等の有無のみを形式的にチェックすることにならないよう留意。対策の浸透には経営陣の積極的な関与(業績評価に勘案・姿勢やメッセージを示す)が重要
  • 金融庁ガイドラインの対象は、犯収法2条2項の特定事業者のうち金融庁所管の事業者(すべての特定事業者ではない)。対応が求められる事項への対応が不十分等のときは報告徴求・業務改善命令等の行政対応の対象
  • 2026年3月31日適用の改正で、「対応が期待される事項」「先進的な取組み事例」の記載は削除され、ガイドラインFAQの「対応が求められる事項」に整理・移行された
第3章の最後は、実務でいちばん使う「金融庁ガイドライン」です。正式名称は長いですが、中身は「金融機関がマネー・ローンダリング対策で何をすべきか」をまとめた教科書。①基本的な考え方 → ②金融機関に求める取組み・位置づけ、の順に見ます。

① ガイドラインの基本的な考え方

リスクベース・アプローチは「当然にやること」

金融庁ガイドラインは、リスクベース・アプローチによるリスク管理態勢の構築・維持を、FATF勧告の中心的項目であり、金融機関等にとって当然に実施すべき事項(ミニマム・スタンダード)としています。「可能な範囲で実施するのが望ましい」といった努力目標ではありません。

そして、金融当局がモニタリングを行う際の指針として、金融機関等が取り組むべき対応が求められる事項を掲げています(「対応が禁止されている事項」ではありません)。また、海外送金等の業務を行う金融機関等には、国内の動向だけでなく外国当局による監督も含めた国際的な動向を十分に踏まえた対応が求められます。

対応が求められる事項(〇)「可能な範囲で望ましい」(✕の言い回し)
扱い当然に実施すべき
(ミニマム・スタンダード)
努力目標/任意
中身リスクベース・アプローチによるリスク管理態勢の構築・維持など― (誤解されやすい言い回し)
守らないとモニタリングで不十分等なら報告徴求・業務改善命令等の対象
①でおさえる結論
  • リスクベース・アプローチによる態勢構築・維持=ミニマム・スタンダード(当然に実施すべき)。「可能な範囲で望ましい」は誤り
  • ガイドラインは対応が求められる事項を掲げる(「禁止されている事項」ではない)
  • 海外送金業務は外国当局の監督も含め国際的な動向を踏まえる(国内だけ/外国だけ、ではない)
  • 講ずべき対策は、国際情勢やリスクの変化に機動的に対応し、有効性のある形で維持していく

② ガイドラインの位置づけと求める取組み

「形式」でなく「実質」、そして経営陣

大切なのは、関係法令やガイドラインの遵守を、法令違反の有無のみを形式的にチェックすることにならないよう留意することです。チェックリストを埋めて終わり、ではありません。

対策を全役職員に浸透させるには、経営陣の積極的な関与が欠かせません。たとえば業績評価にマネー・ローンダリング対策を勘案するなど、経営陣がみずから前向きな姿勢やメッセージを示すことが重要とされています。

なお、金融庁ガイドラインの対象は、犯収法2条2項の特定事業者のすべてではなく、そのうち金融庁所管の事業者です。

守れていないとどうなる?(行政対応)
  • 金融庁は、対応が求められる事項に係る措置が不十分など、リスク管理態勢に問題があると認められる場合、業態ごとの監督指針等も踏まえながら、報告徴求・業務改善命令等の行政対応を行い、管理態勢の改善を図る
2026年改正での見直し(用語の整理)

金融庁ガイドラインは2026年3月31日に改正版が適用されました。この改正で、従来あった「対応が期待される事項」と「先進的な取組み事例」の記載は削除され、その内容は取組事例の一つとして、ガイドラインFAQの「対応が求められる事項」に整理・移行されました。

ねらいは、預貯金口座の不正利用防止の強化やFATF第5次審査のメソドロジー等、足もとの環境変化を整理し、リスク管理態勢の維持・高度化を促すことです。自らのリスクに応じて対応が必要と判断した金融機関等では、引き続き取り組むべきものとされています。

覚え方

① 基本=リスクベース・アプローチは「当然にやる(ミニマム・スタンダード)」、ガイドラインは「対応が求められる事項」を掲げる。② 取組み=形式でなく実質、経営陣が積極関与、対象は「金融庁所管」、守れないと報告徴求・業務改善命令。

ひっかけの定番は「可能な範囲で望ましい」(実は当然に実施=ミニマム・スタンダード)「対応が禁止されている事項」(実は対応が求められる事項)「すべての特定事業者が対象」(実は金融庁所管)「対応が期待される事項に不十分なら行政対応」(実は対応が求められる事項)です。

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問題 1 / 16
リスクベース・アプローチによるリスク管理態勢の構築・維持は、FATF勧告の中心的な項目であり、金融庁ガイドラインでは当然に実施すべき事項(ミニマム・スタンダード)とされている。
リスクベース・アプローチによるリスク管理態勢の構築・維持は、FATF勧告の中心的項目であり、当然に実施すべき事項(ミニマム・スタンダード)とされています。「可能な範囲で実施するのが望ましい」ではありません。
問題 2 / 16
金融庁ガイドラインは、金融当局のモニタリングにあたり、金融機関等の指針となるよう「対応が禁止されている事項」を明確化している。
金融庁ガイドラインは、金融機関等の指針となるよう「対応が求められる事項」を掲げています。「対応が禁止されている事項」ではありません。
問題 3 / 16
海外送金等の業務を行う金融機関等は、外国当局による監督は考慮せず、国内当局による監督のみを重視すればよいとされている。
海外送金等の業務を行う金融機関等は、国内当局の監督を重視するのみならず、外国当局による監督も含め国際的な動向を十分に踏まえた対応が求められます。
問題 4 / 16
金融機関等が講ずべき対策は、変化する国際情勢などの動向やリスクの変化等に機動的に対応し、リスク管理態勢を有効性のある形で維持していく必要があるとされている。
金融機関等が講ずべき対策は、時々変化する国際情勢などの動向やリスクの変化等に機動的に対応し、リスク管理態勢を有効性のある形で維持していく必要があるとされています。
問題 5 / 16
金融庁ガイドラインは、すべての金融機関等に対し、同一のシナリオや敷居値による取引モニタリングを一律に義務づけている。
リスクベース・アプローチでは、画一的なシナリオや敷居値ではなく、リスクに応じてシナリオや敷居値を異にする対応が求められます。一律に義務づけているわけではありません。
問題 6 / 16
金融庁ガイドラインには「よくあるご質問(FAQ)」があり、対応が求められる事項について具体的な対応例等が示されている。
ガイドラインとFAQは一体的に用いられ、FAQでは「対応が求められる事項」について具体的な対応例等が示されています。
問題 7 / 16
金融庁ガイドラインは、金融機関等が自らのリスクを的確に評価し、そのリスクに見合った低減措置を講じることを求めている。
金融庁ガイドラインはリスクベース・アプローチを基本とし、自らのリスクを評価して、リスクに見合った低減措置を講じることを求めています。
問題 8 / 16
金融庁ガイドラインに沿ったリスク管理態勢の整備ができていなくても、ガイドラインは法令ではないため、監督上の問題となることはない。
ガイドラインに沿った態勢整備が不十分な場合、金融庁は報告徴求・業務改善命令等の行政対応を行うことがあり、監督上の問題となります。
問題 9 / 16
金融機関等は、関係法令やガイドライン等を遵守することを最も重視し、管理部門を中心に法令違反等の有無を形式的にチェックすることが重要であるとされている。
金融機関等は、関係法令やガイドライン等を遵守することのみを重視し、法令違反等の有無のみを形式的にチェックすることとならないよう留意しなければならないとされています。
問題 10 / 16
マネー・ローンダリング対策を全役職員に浸透させるため、業績評価において対策を勘案するなど、経営陣の積極的な姿勢やメッセージを示すことが重要であるとされている。
対策を全役職員に浸透させるため、業績評価において対策を勘案するなど、経営陣の積極的な姿勢やメッセージを示すことが重要であるとされています。
問題 11 / 16
金融庁ガイドラインは、犯罪収益移転防止法2条2項で規定されている、すべての特定事業者を対象としている。
金融庁ガイドラインは、犯罪収益移転防止法2条2項に規定する特定事業者のうち、金融庁所管の事業者を対象としています。すべての特定事業者ではありません。
問題 12 / 16
金融庁ガイドラインでは、「対応が期待される事項」に係る措置が不十分である場合に、金融当局が報告徴求・業務改善命令等の行政対応を行うとしている。
行政対応の対象となるのは「対応が求められる事項」に係る措置が不十分などの場合です。「対応が期待される事項」ではありません(この用語の違いが2026年改正のポイントです)。
問題 13 / 16
2026年3月31日に適用された改正金融庁ガイドラインでは、「対応が期待される事項」や「先進的な取組み事例」に関する記載が削除された。
2026年3月31日適用の改正で、「対応が期待される事項」や「先進的な取組み事例」の記載は削除され、その内容は取組事例の一つとしてガイドラインFAQの「対応が求められる事項」に整理・移行されました。
問題 14 / 16
マネー・ローンダリング対策の実効性を確保するためには、経営陣の主導的な関与の下、対策を金融機関全体で徹底し、環境の変化等を踏まえて態勢を定期的に見直すことが重要である。
対策の実効性確保には、経営陣の主導的な関与の下、金融機関全体で徹底し、環境の変化等を踏まえて態勢を定期的に見直すことが重要とされています。
問題 15 / 16
金融庁は、「対応が求められる事項」に係る措置が不十分など、リスク管理態勢に問題があると認められる場合、業態ごとの監督指針等も踏まえながら、報告徴求・業務改善命令等の行政対応を行うとしている。
「対応が求められる事項」に係る措置が不十分などの場合、業態ごとの監督指針等も踏まえながら、報告徴求・業務改善命令等の行政対応を行い、管理態勢の改善を図るとされています。
問題 16 / 16
金融庁ガイドラインは、犯罪収益移転防止法に基づく確認・記録・届出を行ってさえいれば、それ以上のリスク管理態勢の構築は求めていない。
金融庁ガイドラインは、犯収法上の対応にとどまらず、リスクベース・アプローチによるリスク管理態勢の構築・維持(当然に実施すべきミニマム・スタンダード)を求めています。
第3章 国内法規制
第3章 国内法規制
金融庁ガイドライン①②
問正解 / 16問中
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✅ まとめ・要点整理

第3章⑥まとめ:金融庁ガイドライン①②
  • リスクベース・アプローチによる態勢構築・維持は、FATF勧告の中心的項目で当然に実施すべき事項(ミニマム・スタンダード)。「可能な範囲で望ましい」は誤り
  • ガイドラインは対応が求められる事項を掲げる(「対応が禁止されている事項」ではない)。海外送金業務は外国当局の監督も含め国際的な動向を踏まえる
  • 関係法令の遵守は形式的なチェックにとどまらない。浸透には経営陣の積極的な関与(業績評価に勘案・姿勢/メッセージ)が重要
  • 金融庁ガイドラインの対象は、犯収法2条2項の特定事業者のうち金融庁所管の事業者(すべてではない)
  • 対応が求められる事項への措置が不十分等のときは、報告徴求・業務改善命令等の行政対応の対象
  • 2026年3月31日適用の改正で、「対応が期待される事項」「先進的な取組み事例」は削除され、FAQの「対応が求められる事項」に整理・移行
「リスクベース・アプローチによる態勢構築・維持=“当然に実施すべき(ミニマム・スタンダード)”」「ガイドラインは“対応が求められる事項”を掲げ、不十分なら報告徴求・業務改善命令」「対象は犯収法の特定事業者のうち“金融庁所管”/形式でなく実質・経営陣の関与」――ここが頻出です!
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