第7章 疑わしい取引【2026年度対応】|① 届出制度・届出の実務(一問一答)

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今回は第7章 疑わしい取引の第1回、「届出制度」と「届出の実務」から合計16問(2単元×8問)です。
まず制度の全体像(なぜ届け出るのか・誰が・何を)を固め、次に届け方・記載事項の実務手続きをおさえます。
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📊 この章「疑わしい取引」の配点は100点満点中18点
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📌 今回のポイント

  • 疑わしい取引の届出は、犯罪収益移転防止法等で定められた法律上の義務(「任意の協力」ではない)
  • 届出のトリガーは3種類:①収受した財産が犯罪による収益の疑い / ②組織的犯罪処罰法10条の罪(犯罪収益等隠匿)の疑い / ③麻薬特例法6条の罪(薬物犯罪収益等隠匿)の疑い
  • 2024年4月1日から、行政書士等・税理士等・公認会計士等にも届出義務が課された。弁護士等・司法書士等は引き続き対象外
  • 顧客との取引が成立したことは必ずしも要件ではなく、未遂契約の締結を断った場合も届出対象となる場合がある
  • 届出方法は3択:電子申請システム(インターネット経由) / 電磁的記録媒体 / 書面。電磁的記録媒体・書面は書留または直接持参のみ
  • 届出書は原則顧客等ごとに1枚。継続取引で複数の口座名義を持つ場合は取引名義ごとに作成
第7章は「疑わしい取引の届出」がテーマです。まず①届出制度の骨格(法的根拠・誰が・何を・なぜ届け出るのか)と、②実際の届出の手続き(方法・様式・記載事項)を整理します。

① 疑わしい取引の届出制度

3つのトリガーと「疑い」で十分

疑わしい取引の届出は法律上の義務です(犯収法8条)。届出が必要になるトリガーは3種類あります。

届出のトリガー根拠条文
①収受した財産が犯罪による収益の疑い犯収法8条1項・組織的犯罪処罰法2条4項
②顧客が組織的犯罪処罰法10条の罪(犯罪収益等隠匿)に当たる疑い犯収法8条1項
③顧客が麻薬特例法6条の罪(薬物犯罪収益等隠匿)に当たる疑い犯収法8条1項
「犯罪による収益」の範囲は広く、現金だけでなく動産・不動産・その他経済的価値のある財産全般が含まれます(金銭に限定されません)。また、「疑いがある」と認められれば届出義務が生じるため、具体的な犯罪の存在まで確認する必要はありません
届出義務の対象者と「取引の成立」の要否(重要ポイント)
  • 従前は行政書士等・税理士等・公認会計士等は特定事業者でも届出義務が課されていなかった
  • 2024年4月1日から、FATF勧告対応法による犯収法改正により、行政書士等・税理士等・公認会計士等にも届出義務が課された
  • 弁護士等・司法書士等は引き続き届出義務の対象外のまま
  • 顧客との取引が成立していなくても、未遂に終わった場合や契約の締結を断った場合も届出対象となる場合がある(犯収法8条1項)

② 疑わしい取引の届出の実務

届出方法は3択・書面は書留か持参

届出の方法は3択です。「電子申請システム(インターネット経由)」という表現が試験問題の文言として明示されています。電子申請は行政庁が提供するオンライン届出システムで行うもので、以前から利用可能でしたが、この文言が明記された点が出題ポイントです。

届出方法備考
電子申請システム(インターネット経由)【2026差分】e-GVAS等のオンライン申請
電磁的記録媒体(CD・USBメモリ等)書留郵便または直接持参のみ
書面書留郵便または直接持参のみ
届出書の記載事項(犯収法施行令16条2項)
  • 届出を行う事業者の名称および所在地
  • 届出対象取引が発生した年月日および場所
  • 届出対象取引が発生した業務の内容
  • 届出対象取引に係る財産の内容(金額・証券の種類・額面等)
  • 特定事業者において知り得た対象取引に係る取引時確認に関する事項
  • 届出を行う理由
届出書の作成単位・届出情報の秘密保持

届出書は原則として顧客等ごとに1枚作成します。ただし、継続的取引で同一顧客が複数の口座名義を持つ場合は取引名義ごとに作成が必要です。

届出した事実は厳格な秘密保持が求められます。届出を行おうとすることまたは行ったこと(ティッピング・オフ)を当該顧客や関係者に漏らしてはなりません(犯収法8条4項)。また、捜査機関等に提供された場合も捜査記録や司法書類には一切記録されません

届出の対象範囲・届出先・記録の保存(おさえておきたい実務)
  • 届出の対象は、銀行の場合預金・内国為替・外国為替・融資・証券取引・信託・保護預り・貸金庫等のすべての業務に及ぶ(一部の業務に限られない)
  • 届出先(行政庁)は業態で異なり、銀行は金融庁長官・両替業者は財務大臣・クレジットカード事業者は経済産業大臣。取引内容によっては複数の行政庁への届出が必要
  • 届出の要否を判断した結果(届け出ない場合はその理由を含む)等は、少なくとも5年間保存することが求められる

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問題 1 / 16
疑わしい取引の届出は、犯罪収益移転防止法等で定められた法律上の義務である。
疑わしい取引の届出は、犯収法等に定められた法律上の義務です。「任意の協力」ではありません。
問題 2 / 16
行政書士等、税理士等および公認会計士等は、特定事業者に該当していても、現在も疑わしい取引の届出義務を負っていない。
2024年4月1日より、FATF勧告対応法による犯収法改正に伴い、行政書士等・税理士等・公認会計士等にも届出義務が課されました。「現在も負っていない」は誤りです。
問題 3 / 16
特定事業者は、特定業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いが認められる場合、疑わしい取引の届出を行う義務を負っている。
収受した財産が「犯罪による収益」の疑いがあると認められる場合、届出義務が生じます(犯収法8条1項)。具体的な犯罪の特定は不要で「疑い」で足ります。
問題 4 / 16
「犯罪による収益」は金銭(現金)に限定されており、不動産や債権などの財産は含まれない。
「犯罪収益等」は金銭に限定されず、動産・不動産・その他経済的価値のある財産全般が含まれます(組織的犯罪処罰法2条4項)。
問題 5 / 16
顧客等が特定業務に関し、組織的犯罪処罰法10条の罪(犯罪収益等仮装・隠匿罪)に当たる行為をしている疑いが認められる場合も、疑わしい取引の届出を行う義務がある。
犯罪収益等の取得・処分について事実を仮装したり隠匿する行為(組織的犯罪処罰法10条の罪)の疑いも、届出のトリガーとなります(犯収法8条1項)。
問題 6 / 16
疑わしい取引の届出は、顧客との取引が成立した場合のみが対象であり、取引が未遂に終わった場合や契約の締結を断った場合は届出を行う必要はない。
顧客との取引が成立したことは必ずしも要件ではなく、未遂に終わった場合や契約の締結を断った場合も、届出の対象となる場合があります(犯収法8条1項)。
問題 7 / 16
テロ資金提供処罰法で規定するテロ資金についても、疑わしい取引の届出を行う義務の対象となる。
テロ資金(テロ資金等提供処罰法で規定)も「犯罪収益」に含まれるため、疑わしい取引の届出義務の対象です(組織的犯罪処罰法2条2項4号)。
問題 8 / 16
弁護士等および司法書士等は、2024年4月1日の犯収法改正により、行政書士等と同様に疑わしい取引の届出義務の対象となった。
弁護士等・司法書士等は、2024年4月1日の改正後も引き続き届出義務の対象外です。新たに義務化されたのは行政書士等・税理士等・公認会計士等です。
問題 9 / 16
特定事業者が行政庁に対し疑わしい取引を報告する際は、電子申請システムまたは電磁的記録媒体のいずれかの方法に限られ、書面による届出は認められていない。
届出方法は電子申請システム(インターネット経由)・電磁的記録媒体・書面の3択です。書面での届出も認められています。
問題 10 / 16
疑わしい取引の届出を行う際は、犯罪収益移転防止法等で定められた様式および記載事項に沿って届け出る必要がある。
届出書は法定の様式・記載事項に従って作成する必要があります(犯収法施行令16条2項)。
問題 11 / 16
電磁的記録媒体で疑わしい取引を届け出る際は、電子メールへの添付による送付が認められている。
電磁的記録媒体および書面での届出は、書留郵便または直接持参の方法のみが認められています。電子メールへの添付は認められていません。
問題 12 / 16
疑わしい取引の届出書は、原則として顧客等ごとに作成する必要がある。
届出書は原則として顧客等ごとに1枚作成します(金融庁別記様式第1号)。
問題 13 / 16
銀行が両替業務に関連して疑わしい取引を検知した場合であっても、疑わしい取引の届出先はすべて金融庁長官に一本化されている。
本邦において両替業務を行う者については財務大臣が、クレジットカード事業者については経済産業大臣が行政庁として定められています。取引の内容によっては複数の行政庁への届出が必要となり、金融庁長官に一本化されているわけではありません。
問題 14 / 16
疑わしい取引の届出書には、特定事業者として知り得た対象取引に係る取引時確認に関する事項を記入する必要がある。
届出書の記載事項には「特定事業者において知り得た対象取引に係る取引時確認に係る事項」が含まれます(犯収法施行令16条2項)。
問題 15 / 16
疑わしい取引の届出書の記載事項には、「届出を行う理由」が含まれている。
「届出を行う理由」は犯収法施行令16条2項に定める記載事項の一つです。届出書への記入が必要です。
問題 16 / 16
疑わしい取引の届出を行ったことを、届出の対象となった顧客に通知することが、顧客との信頼関係維持のために求められている。
特定事業者は、疑わしい取引の届出を行おうとすることまたは行ったことを、当該顧客等またはその関係者に漏らしてはなりません(ティッピング・オフの禁止・犯収法8条4項)。
第7章 疑わしい取引
第7章 疑わしい取引
届出制度・届出の実務
問正解 / 16問中
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✅ まとめ・要点整理

第7章①まとめ:届出制度・届出の実務
  • 疑わしい取引の届出は犯収法等に基づく法律上の義務(任意でない)
  • 2024年4月1日から行政書士等・税理士等・公認会計士等も届出義務の対象に(弁護士等・司法書士等は引き続き対象外)
  • 届出のトリガー:①犯罪による収益の疑い / ②組織的犯罪処罰法10条の疑い / ③麻薬特例法6条の疑い
  • 顧客との取引成立は要件でなく、未遂や契約を断った場合も届出対象になる場合がある
  • 届出方法は3択:電子申請(インターネット経由)・電磁的記録媒体・書面。電磁的記録媒体・書面は書留か直接持参のみ
  • 届出書は顧客等ごとに作成・複数名義は名義ごと。届出した事実はティッピング・オフ禁止(犯収法8条4項)・捜査記録には記録されない
  • 届出先は業態で異なる(銀行=金融庁長官/両替=財務大臣/カード=経済産業大臣)。判断記録は5年間保存
「疑わしい取引の届出は犯収法等に基づく法律上の義務」「行政書士等・税理士等・公認会計士等は2024年4月1日から義務化(弁護士等・司法書士等は引き続き対象外)」「届出方法は電子申請(インターネット経由)・電磁的記録媒体・書面の3択」――ここが頻出です!

試験、頑張ってください‼

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