第3章 国内法規制【2026年度対応】|① 犯罪収益移転防止法(一問一答)

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今回は第3章 国内法規制の入り口として、「犯罪収益移転防止法(犯収法)」から合計16問(2単元×8問)を出題します。
まずは「誰が対象か(特定事業者)」「どんな義務か」「何年・いつから保存か」を押さえ、2016年・2024年の改正点まで年代順に整理しましょう。
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📌 今回のポイント

  • 犯罪収益移転防止法(犯収法)が特定事業者に課す主な義務=取引時確認/確認記録・取引記録等の作成・保存(いずれも7年間)/疑わしい取引の届出(士業者の一部を除く)/コルレス契約締結時の厳格な確認/外国為替取引に係る通知 など
  • 記録の保存は起算日に注意=確認記録は「特定取引等に係る契約が終了した日等」から、取引記録等は「当該取引が行われた日等」から、いずれも7年間
  • 社会保険労務士は特定事業者に含まれない(同法2条2項)=頻出ひっかけ。組織的犯罪処罰法は廃止されていない(廃止されたのは金融機関等本人確認法)
  • 【2016年改正】(2014年11月成立・2016年10月全面施行)の4つの柱=①疑わしい取引の判断方法の明確化 ②コルレス契約締結時の厳格な確認取引担当者の代理権等の確認方法の厳格化(社員証は削除・役員は代表権を有する役員に限定)④顔写真のない本人確認書類の二次的確認。追加で外国PEPs・実質的支配者に関する規定の改正(自然人まで遡る)
  • 【2024年改正】疑わしい取引の届出は弁護士等・司法書士等は対象外だが、2024年4月1日から行政書士等・公認会計士等・税理士等にも守秘義務に係る事項を除き届出義務が課された(今年の重要な変更点)
第3章 国内法規制は、一度整理すれば得点しやすい分野です。犯収法は「誰が対象か・何の義務か・何年(いつから)保存か」を押さえ、2016年・2024年の改正点もあわせて整理しましょう。一問一答で固めていきます。

犯罪収益移転防止法とは・特定事業者の義務

犯罪収益移転防止法(犯収法)とは

一定範囲の事業者(特定事業者)に取引時確認や疑わしい取引の届出等を義務付けることで、犯罪による収益の移転を防ぎ、不正な資金が移転してしまった場合にも資金を追跡しやすくすることを目的とした法律です。

銀行などの金融機関も特定事業者に該当し、同法に基づく対応が義務付けられています。2008年3月から全面施行され、その後も社会情勢の変化に合わせて随時改正されています。

まずは要点を「早わかり表」で押さえましょう。
目的特定事業者に取引時確認・疑わしい取引の届出等を義務付け、マネー・ローンダリング等を抑止し、不正な資金が移転しても追跡しやすくすること
全面施行2008年3月(金融機関等本人確認法は廃止/組織的犯罪処罰法は廃止されず第5章を犯収法へ移行)
特定事業者(主な対象)金融機関等(銀行・信用金庫・証券会社・保険会社・資金移動業者・暗号資産交換業者 等)、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宝石・貴金属等取扱事業者、宅地建物取引業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者、士業者(弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士) ※社会保険労務士は含まない
主な義務①取引時確認 ②確認記録の作成・保存 ③取引記録等の作成・保存 ④疑わしい取引の届出(士業者の一部を除く)⑤コルレス契約締結時の厳格な確認 ⑥外国為替取引に係る通知 ⑦取引時確認等を的確に行うための措置
記録の保存期間(起算日)確認記録=特定取引等に係る契約が終了した日等から7年間/取引記録等=当該取引が行われた日等から7年間

間違えやすいポイント(特定事業者・義務)

⚠ ここを問われやすい
  • 社会保険労務士は特定事業者に含まれない(同法2条2項)。一方、ファイナンスリース事業者・クレジットカード事業者・宝石・貴金属等取扱事業者・郵便物受取サービス業者・電話受付代行業者・電話転送サービス事業者は含まれる
  • 記録の保存期間はいずれも7年間。起算日は確認記録=契約終了日等から取引記録等=取引日等から(「5年」「10年」への置き換えに注意)
  • 疑わしい取引の届出はすべての特定事業者の義務ではない=弁護士等・司法書士等は対象外(犯収法8条)
組織的犯罪処罰法は廃止されていない

犯収法の全面施行(2008年3月)に伴い廃止されたのは金融機関等本人確認法です。組織的犯罪処罰法そのものは廃止されていません。従来、金融機関等に本人確認や疑わしい取引の届出を義務付けていた同法の第5章(疑わしい取引の届出)が廃止・削除され、その内容が犯収法に移行されました。

犯収法は改正のたびに義務や確認方法が見直されてきました。主な改正は2016年2024年の2つ。ここからは年代順に整理します。

犯収法の主な改正①:2016年(2014年11月成立・2016年10月全面施行)

この改正はFATF第3次対日相互審査の指摘に対応したもので、次の4つの柱が中心です。
2016年改正の「4つの柱」
  • 疑わしい取引の判断方法の明確化=マネー・ローンダリングに悪用されるリスクに応じて、疑わしい取引の該当性を判断
  • コルレス契約締結時の厳格な確認の義務付け=相手方(コルレス先)がシェルバンク(架空銀行)でないか、マネー・ローンダリング対策を適切に行っているかを確認
  • 取引担当者の代理権等の確認方法の厳格化=「社員証を有していること」は削除/「役員として登記」は「代表権を有する役員として登記」に限定
  • ④ 顔写真のない本人確認書類(健康保険の資格確認書・国民年金手帳等)=転送不要郵便等による二次的な確認措置が必要
2016年改正で追加・改正された事項
  • 外国PEPs(重要な公的地位を有する者)との特定取引が厳格な取引時確認の対象に追加
  • 実質的支配者に関する規定の改正=議決権その他の手段で法人を支配する自然人まで遡って確認
  • 敷居値以下でも、金額を減らすための分割が一見明らかなら一取引とみなして合算し、総額が敷居値超なら取引時確認
  • 事業者が行う体制整備等の努力義務の拡充(内部規程の策定・責任者の選定 等)
⚠ 定番のひっかけ:「きわめて高い」⇔「きわめて低い」

公共料金や入学金等の支払のうち、マネー・ローンダリングに利用されるおそれがきわめて低い一部の取引が、簡素な顧客管理が許容される取引に追加されました。

これを「おそれがきわめて高い」と入れ替えるのが定番のひっかけです。リスクが低いから簡素にできる――と覚えましょう。

犯収法の主な改正②:2024年(2024年4月1日〜)

2024年改正のポイント(士業者の届出義務)
  • 従前、いわゆる「士業者」は、特定事業者であっても疑わしい取引の届出義務が課されていなかった
  • 2024年4月1日から、士業者のうち行政書士等・公認会計士等・税理士等に、守秘義務に係る事項を除き、疑わしい取引の届出義務が課された
  • 弁護士等・司法書士等は引き続き届出義務の対象外(「士業者すべてに義務付けられた」は誤り)
  • 背景=いわゆるFATF勧告対応法による犯罪収益移転防止法の改正(FATF第4次対日相互審査への対応)
覚え方

犯収法は「誰が・何を・何年(いつから)」で覚えます。

誰が=特定事業者(社労士は×)/何を=取引時確認・記録の作成保存・疑わしい取引の届出(士業の一部は×)/何年=記録は7年(確認記録=契約終了日等から/取引記録等=取引日等から)。

改正は年代順に「2016年=4つの柱(判断方法・コルレス・代理権・顔写真なし)」→「2024年=行政書士等・公認会計士等・税理士等に届出義務」と覚えると迷いません。

1問1答にチャレンジ❕

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問題 1 / 16
確認記録も取引記録等も、犯罪収益移転防止法上の保存期間は、いずれも取引終了などの起算日から数えて7年と定められている。
確認記録は特定取引等に係る契約が終了した日等から、取引記録等は当該取引が行われた日等から、いずれも7年間保存します。起算日が記録の種類で異なる点と、「5年」「10年」への置き換えがひっかけです。
問題 2 / 16
特定事業者の範囲には金融機関等に加え、弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士といった士業のほか、社会保険労務士も含まれている。
社会保険労務士は特定事業者に含まれません(同法2条2項)。弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士は含まれます。
問題 3 / 16
特定業務で受け取った財産にマネー・ローンダリングの疑いがあるとき、犯罪収益移転防止法は弁護士や司法書士も含めた特定事業者全員に、疑わしい取引の届出を一律に求めている。
弁護士等・司法書士等は特定事業者ですが、疑わしい取引の届出は義務付けられていません(犯罪収益移転防止法8条)。「すべての特定事業者」がひっかけです。
問題 4 / 16
2024年4月1日から、士業者のうち行政書士等・公認会計士等・税理士等については、守秘義務に係る事項を除き、疑わしい取引の届出義務が課されることとなった。
いわゆるFATF勧告対応法による犯罪収益移転防止法の改正に伴い、2024年4月1日より、行政書士等・公認会計士等・税理士等に守秘義務に係る事項を除き届出義務が課されました。弁護士等・司法書士等は引き続き対象外です。
問題 5 / 16
金融機関等本人確認法と組織的犯罪処罰法は、いずれも犯罪収益移転防止法の施行に伴って廃止され、両法が統合される形で犯罪収益移転防止法が成立した。
廃止されたのは金融機関等本人確認法です。組織的犯罪処罰法は廃止されておらず、疑わしい取引の届出を定めていた第5章が削除され、犯罪収益移転防止法に移行されました。
問題 6 / 16
犯罪収益移転防止法が特定事業者に課す義務には、取引時確認や記録の作成・保存のほか、コルレス契約締結時の厳格な確認や外国為替取引に係る通知が含まれる。
特定事業者の義務は、取引時確認、確認記録・取引記録等の作成・保存、疑わしい取引の届出(士業者の一部を除く)、コルレス契約締結時の厳格な確認、外国為替取引に係る通知、取引時確認等を的確に行うための措置です。
問題 7 / 16
リース業を営むファイナンスリース事業者や、クレジットカードを扱う事業者、宝石・貴金属類を取り扱う事業者は、犯罪収益移転防止法上の特定事業者から外れている。
これらはいずれも特定事業者に該当します。ほかに郵便物受取サービス業者・電話受付代行業者・電話転送サービス事業者も特定事業者です。
問題 8 / 16
犯罪収益移転防止法の目的の一つは、一定範囲の事業者に取引時確認や疑わしい取引の届出等を義務付け、犯罪による収益の移転を防止することにある。
同法は特定事業者に取引時確認・記録の作成保存・疑わしい取引の届出等を義務付け、マネー・ローンダリング等を抑止し、不正な資金が移転しても追跡しやすくすることを目的としています。
問題 9 / 16
2016年10月に全面施行された改正法では、取引がマネー・ローンダリングに悪用されるリスクの大小をふまえて疑わしい取引かどうかを見極めるという、判断のしかたが明確にされた。
リスクに応じて疑わしい取引の該当性を判断する方法が明確化されました。形式的な確認だけでなく、取引ごとのリスクをふまえた判断が求められます。
問題 10 / 16
2016年施行の改正により、法人の取引担当者の代理権等の確認方法として、新たに「社員証を有していること」が認められた。
改正では取引担当者の代理権等の確認方法から「社員証を有していること」が削除されました。新たに認められたのではなく、確認方法として使えなくなった点がポイントです。
問題 11 / 16
2016年施行の改正後は、法人の取引担当者が「役員として登記されていること」を確認できれば、役職にかかわらず取引権限の確認方法として用いることができる。
「役員として登記されていること」は、「代表権を有する役員として登記されている場合」に限ることとされました。一般の登記役員であれば足りるわけではありません。
問題 12 / 16
健康保険の資格確認書や国民年金手帳のように顔写真がついていない本人確認書類を使うときは、顧客の自宅宛てに転送不要郵便で取引関係の文書を送るといった、追加の確認手段を講じる必要が生じた。
顔写真のない本人確認書類を用いる場合、転送不要郵便の送付など二次的な確認措置が必要です。顔写真付きの本人確認書類との違いを押さえましょう。
問題 13 / 16
2016年施行の改正では、公共料金や入学金等の支払のうち、マネー・ローンダリングに利用されるおそれがきわめて高い一部の取引が、簡素な顧客管理が許容される取引に追加された。
簡素な顧客管理が許容される取引に追加されたのは、マネー・ローンダリングに利用されるおそれがきわめて低い一部の取引です。「きわめて高い」と入れ替えるのが定番のひっかけです。
問題 14 / 16
2016年施行の改正では、コルレス契約締結時の厳格な確認が義務付けられ、相手方(コルレス先)がシェルバンク(架空銀行)でないか、マネー・ローンダリング対策を適切に行っているかを確認することとされた。
金融機関等が外国所在為替取引業者と業務関係を確立する段階で、相手方がシェルバンクでないか、取引時確認等の措置を十分に行っているかを確認するコルレス契約締結時の厳格な確認が義務付けられました。
問題 15 / 16
外国の要人にあたる外国PEPsとの間で行う特定の取引は、2016年施行の改正によって、より慎重な取引時確認を行うべき対象に加えられた。
外国PEPs(Politically Exposed Persons:重要な公的地位を有する者)との特定取引が厳格な取引時確認の対象に加わりました。マネー・ローンダリングのリスクが高いと考えられるためです。
問題 16 / 16
実質的支配者に関する規定の改正により、法人については、議決権の過半数を直接保有する株主のみを実質的支配者として確認すれば足りるとされた。
実質的支配者に関する規定の改正では、議決権その他の手段により当該法人を支配する自然人まで遡って確認すべきこととされました。直接の株主だけで足りるわけではありません。
第3章 国内法規制
第3章 国内法規制
犯罪収益移転防止法
問正解 / 16問中
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✅ まとめ・要点整理

第3章①まとめ:犯罪収益移転防止法
  • 犯収法は「誰が対象か(特定事業者)」「何の義務か」「何年・いつから保存か」を整理。社会保険労務士は対象外がひっかけの定番。記録は7年(確認記録=契約終了日等から/取引記録等=取引日等から)
  • 金融機関等本人確認法は廃止/組織的犯罪処罰法は廃止されていない(疑わしい取引の届出を定めた第5章が犯収法へ移行)
  • 【2016年改正】の4つの柱疑わしい取引の判断方法の明確化/コルレス契約締結時の厳格な確認(シェルバンク確認)/取引担当者の代理権等の確認方法社員証は削除・代表権を有する役員に限定)/顔写真のない書類の二次的確認
  • 【2016年改正】の追加=外国PEPsへの厳格な取引時確認・実質的支配者に関する規定の改正(自然人まで遡る)・公共料金等は「おそれがきわめて低い」取引(「きわめて高い」はひっかけ)
  • 【2024年改正】士業のうち行政書士等・公認会計士等・税理士等に守秘義務に係る事項を除き届出義務(弁護士等・司法書士等は対象外
「社会保険労務士は特定事業者ではない」「弁護士等・司法書士等は疑わしい取引の届出が対象外(2024年4月から行政書士等・公認会計士等・税理士等は対象に)」「組織的犯罪処罰法は廃止されていない」、そして2016年改正は「社員証は削除」「公共料金等はリスクがきわめて低い取引」が頻出ひっかけです!

試験、頑張ってください‼

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