保険や投資にも、マネー・ローンダリングの影は忍び込みます—— 貯蓄性の高い保険、繰り返す投資商品の購入と解約。 「お金を移す・隠す」手段として悪用されることがあります。 保険商品と投資商品、それぞれの参考事例を一問一答で確認しましょう。
- 保険(とくに蓄財性の高い一時払い・満期返戻のある商品)は、犯罪収益を移す手段に悪用されることがある。
- 保険の注意点=見合わない高額保険料の現金支払、支払い方の不自然な変更、早すぎる解約、本人確認書類を出さない顧客(→申込みを断る)。
- 投資性商品(投信・株・債券)は送金機能はないが、購入と解約で資金の出所を隠すレイヤリングに使われうる。「取引時確認済みだから安心」ではない。
- 投資の注意点=属性に見合わない高額購入、中身に無関心で機械的に購入、保護預りを使わず現物(本券)受渡しを求める。
- 購入・契約に至らなくても、不自然なら疑わしい取引の届出の対象になる。
保険のなかでも、蓄財性(貯蓄性)の高い商品(一時払いや満期返戻のあるものなど)は、犯罪収益を保険料に充ててすぐ解約・払戻しを受けるなど、マネー・ローンダリングに悪用されることがあります。金融庁の参考事例では、保険会社について次のような取引が挙げられています。
保険のあやしさ(こんな取引に注意)
- 現金へのこだわり…見合わない高額の保険料を現金・小切手で支払う/多額の保険金・払戻なのに現金・小切手を求める
- 不自然な支払い方の変更…少額の月払いから年払い・一時払いへ突然変更/突然、多額の保険料が必要な高額保険へ変更
- 早すぎる解約…不自然に早期の解約(経済合理性のない異常な取引)/契約締結後すぐに中途解約し、返金を契約者と異なる名義の口座へ求める
- 本人確認に非協力…リスクはないと主張して本人確認書類を出さない(→申込みをお断りする)
投資信託や株式・債券などの投資性商品は、送金機能はありませんが、購入と解約をくり返すことで資金の出所を分かりにくくする手段になりえます。「すでに口座のある取引時確認済みのお客さまだから安心」とは限りません。
投資のあやしさ(こんな取引に注意)
- 不釣合いに高額…退職金等の裏付けがないのに、属性に見合わない高額な投資商品を繰り返し購入
- 中身に無関心…投資効果や期待リターンに関心がなく投資性向に合致しない商品を購入/第三者からの送金で機械的に購入
- 現物へのこだわり…現金・小切手で多額の債券を買い、保護預りを使わず本券(現物)の受渡しを求める
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問題 1 / 16
保険料の支払方法を月払いとする保険契約は、それ自体が、疑わしい取引の参考事例として注意を払う必要がある。
保険料の支払方法が月払いであること自体は、参考事例として挙げられていません。注意すべきは、多額の保険料を年払いや一時払いで支払う場合などです。
問題 2 / 16
保険料の支払方法を年払いから月払いへ突然変更する取引は、疑わしい取引の参考事例として注意を払う必要がある。
参考事例は逆で、少額の月払いから年払いまたは一時払いへ突然変更する場合が挙げられています。月払いへの変更そのものの事例ではありません。
問題 3 / 16
多額の保険金支払において、電信送金による支払を求める顧客との取引は、疑わしい取引の参考事例として注意を払う必要がある。
事例として挙げられているのは、多額の保険金支払や払戻にもかかわらず、現金または小切手による支払を求める場合です。電信送金を求めること自体の事例はありません。
問題 4 / 16
突然、多額の保険料の支払が必要となる高額な保険へ変更する契約者との取引は、疑わしい取引の参考事例として注意を払う必要がある。
少額の保険から突然、多額の保険料が必要な高額保険へ変更するのは不自然で、資金を保険に移す目的の可能性があり、注意が必要です。
問題 5 / 16
不自然に早期の解約が行われるなど、経済合理性から見て異常な保険取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
保険料を支払ってまもなく不自然に早期解約するのは経済合理性から見て異常で、保険を一時的な資金の置き場にしている可能性があり、注意が必要です。
問題 6 / 16
契約締結時に保険料が支払われた後、契約者がすぐに中途解約を申し出る取引、特に返金(保険料充当額)を契約者と異なる名義の口座への送金で求める場合は、注意を払う必要がある。
契約直後の中途解約で、返金を契約者と異なる名義の口座へ求めるのは、保険を経由して資金の出所を変える手口の可能性があり、注意が必要です。
問題 7 / 16
貯蓄性(蓄財性)の高い一時払いの保険商品は、犯罪収益を保険料に充ててすぐに解約・払戻しを受けるなど、マネー・ローンダリングに悪用される危険性がある。
蓄財性の高い保険商品は、犯罪収益をいったん保険料に変え、解約して払戻しを受けることで資金の出所を変えられるため、マネー・ローンダリングに悪用される危険性があります。
問題 8 / 16
個人年金保険の申込みで、顧客が「年金支給はずっと先でマネー・ローンダリングのリスクはない」として本人確認書類の提出を拒んだ場合でも、すでに意向把握が済んでいれば、契約を進めてよい。
取引時確認に必要な本人確認書類の提出・提示を顧客が行わない場合は、マネー・ローンダリングのリスクをていねいに説明したうえで、個人年金保険の申込みをお断りすることになります。
問題 9 / 16
現金や小切手による多額の債券の買付けにおいて、保護預り制度の利用を求める顧客との取引は、疑わしい取引の参考事例として注意を払う必要がある。
事例として挙げられているのは、合理的な理由もなく保護預り制度を利用せず、本券(現物)の受渡しを求める場合です。保護預りの利用を求めること自体の事例ではありません。
問題 10 / 16
退職金等の裏付けがないなど、顧客の属性に照らして不釣合いに高額な投資商品を繰り返し購入しようとする顧客との取引は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
収入や資産の裏付けがないのに、属性に見合わない高額な投資商品を繰り返し購入するのは、出所の不明な資金を投資に変えている可能性があり、注意が必要です。
問題 11 / 16
投資効果や期待リターン等に関心を示さず、顧客の投資性向に合致しない商品を繰り返し購入しようとする顧客との取引は、注意を払う必要がある。
商品の中身や見返りに関心がないのに、その人の投資性向に合わない商品を繰り返し買うのは、第三者に言われて取引している可能性などがあり、注意が必要です。
問題 12 / 16
明らかに投資商品に関心がなく、第三者からの送金によって機械的に投資商品を買おうとしている顧客との取引は、注意を払う必要がある。
本人に関心がなく、第三者からの送金で機械的に投資商品を買うのは、他人の資金の出所を変える手段として利用されている可能性があり、注意が必要です。
問題 13 / 16
投資信託や保険などの投資性商品は、購入して一定期間後に解約することで、資金の出所をわかりにくくするレイヤリングの手段に使われることがある。
投資性商品は、いったん購入して一定期間後に解約することで、資金の流れを複雑にして出所を分かりにくくするレイヤリングに使われることがあります。
問題 14 / 16
投資信託や保険には送金機能がないため、犯罪資金を最初に金融システムへ入れるプレースメントにも、その後のレイヤリングにも使われることはない。
投資性商品は、購入と解約を通じて資金の出所を分かりにくくするレイヤリング(資金を動かして出所を隠す段階)に使われやすいほか、現金で保険料や買付代金を支払えば、犯罪資金を金融システムに持ち込む入口(プレースメント)にもなりえます。「使われることはない」とはいえません。
問題 15 / 16
投資商品の購入を勧めたが、顧客が説明を遮って購入を急かし、結局購入に至らなかった場合は、取引が成立していないため、疑わしい取引の届出を検討する必要はない。
購入に至らなかった場合でも、説明を遮って急かすなど不自然な態様であれば、疑わしい取引の届出の対象となることがあります。
問題 16 / 16
すでに預金口座を持つ取引時確認済みの顧客であれば、投資性商品の販売にあたって、マネー・ローンダリングのリスクに着目した確認は必要ない。
取引時確認済みの顧客であっても、投資性商品は預金とは異なるリスク特性があるため、その特性を踏まえてリスクに着目した確認をすることが重要です。

第7章 疑わしい取引
疑わしい取引の参考事例(保険商品・投資商品の販売)
疑わしい取引の参考事例(保険商品・投資商品の販売)
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第7章⑨まとめ:疑わしい取引の参考事例(保険商品・投資商品の販売)
- 保険のあやしさ=見合わない高額保険料の現金・小切手/多額保険金・払戻で現金・小切手要求/少額月払い→年払い・一時払いへ突然変更/突然多額保険料の高額保険へ変更/不自然な早期解約/契約後すぐ中途解約で異名義口座へ返金。
- 蓄財性(貯蓄性)の高い保険ほどマネー・ローンダリングに悪用されやすい。本人確認書類を出さない顧客には申込みを断る。
- マネー・ローンダリングの3段階=プレースメント(入れる)→レイヤリング(隠す)→インテグレーション(取り込む)。投資性商品はとくにレイヤリングに使われやすい。
- 投資のあやしさ=属性に見合わない高額購入を繰り返す/中身に無関心で機械的に購入/保護預りを使わず現物(本券)の受渡しを求める。
- 「取引時確認済みだから不要」ではない。購入・契約に至らなくても、不自然なら疑わしい取引の届出の対象。
【頻出ひっかけ】 ・月払いの保険契約はそれ自体が事例 → ✕(事例は年払い・一時払い) ・年払いから月払いへの変更が事例 → ✕(逆=少額の月払いから年払い・一時払いへ) ・多額の保険金を電信送金で求める → ✕(事例は現金・小切手を求める場合) ・債券買付で保護預りを“使う”のが事例 → ✕(保護預りを使わず本券受渡しを求める) 試験、頑張ってください‼
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