今回は第7章の総合演習です。①〜⑪の全範囲から55問をプールし、毎回ランダムに20問を出題します(「もう一度」で別の20問に入れ替わります)。 疑わしい取引の届出の仕組みから、参考事例・非対面取引の新しい論点まで、章をまたいだ知識の総点検に使ってください。
- ① 疑わしい取引の届出は犯収法上の法的義務。「犯罪による収益」は現金に限らず不動産・債権等の財産も含む。取引が不成立(未遂・謝絶)でも届出の対象になりうる。
- ② 届出は各行政庁→国家公安委員会(JAFIC)に集約され、捜査機関や外国の資金情報機関(FIU)へ提供される。銀行の届出先は金融庁長官。
- ③ 『令和7年 犯罪収益移転危険度調査書』等によると、2025年の通知件数は過去最多で業態別は銀行等が最多。届出制度は1992年(麻薬特例法)に創設。組織的犯罪処罰法10条の隠匿は未遂も処罰。
- ④ 届出対象は銀行の全業務(預金・為替・融資・信託・保護預り・貸金庫等)。参考事例に該当しない類型でも、疑わしいと判断すれば届出対象。
- ⑤ 金融庁ガイドライン=疑わしいと判断したら即座に届出を開始する態勢。届出を契機に顧客リスク評価を見直す。「保守的な報告をできる限り多く」とは求めていない。
- ⑥ 現金の使用形態=属性に見合わない高額の現金取引や多量の少額通貨に注意。ストラクチャリング(分割して敷居値逃れ)は対象。現金は最も悪用されやすい。
- ⑦ 真の口座保有者・取引者の隠匿=多数口座・同一携帯番号・同一IP・なりすまし。本人確認が形式的にできていても、利用実態が不審なら注意。
- ⑧ 口座の利用形態=解約・休止した口座も対象。外国との取引=非協力国、イラン・北朝鮮の迂回、代理送金に注意。
- ⑨ 保険=蓄財性の高い一時払いや不自然な変更・早期解約。投資性商品=購入と解約によるレイヤリング。取引時確認済みの顧客でも油断しない。
- ⑩ 有価証券の発行=真の関与者や資金実態の隠匿。非対面取引(2025年8月に事例改訂)=アクセス環境(IPアドレス・端末)の不一致やオンラインカジノなりすまし。
- ⑪ その他=偽造・盗難通貨、実質的支配者の確認拒否、自行職員自身の取引。ティッピングオフ(届出を漏らさない・8条4項)と金融包摂(正当な利用者を一律に謝絶しない)。
①〜⑪ ひと目でおさらい
- ①届出の仕組み=犯収法上の義務。犯罪収益は財産一般・未遂/謝絶も対象
- ②情報の活用=各行政庁→国家公安委員会(JAFIC)→捜査機関・外国FIU/銀行は金融庁長官へ
- ③件数・危険度=2025年は過去最多・銀行等が最多/制度は1992年創設/組織的犯罪処罰法
- ④対象行為・判断=全業務が対象・参考事例外でも疑わしければ届出
- ⑤ガイドライン届出=即座に届出する態勢・届出を契機にリスク評価見直し
- ⑥現金の使用形態=見合わない高額現金・ストラクチャリング・現金は最も悪用される
- ⑦真の保有者/取引者の隠匿=多数口座・同一IP・なりすまし
- ⑧口座利用形態/外国取引=解約口座も対象・非協力国・代理送金
- ⑨保険/投資商品=蓄財性・レイヤリング・取引時確認済みでも油断しない
- ⑩有価証券発行/非対面=真の関与者の隠匿・アクセス環境(2025年8月改訂)
- ⑪その他=偽造盗難通貨・ティッピングオフ・金融包摂
⚠ ここを間違えやすい(各記事の代表ひっかけ)
- ①「犯罪収益は現金だけ」「取引成立時のみ届出」は誤り(財産一般・未遂も対象)
- ②「銀行の届出先は財務省」「JAFICの公表物は犯罪白書」は誤り(金融庁長官・年次報告書)
- ③「届出制度は2007年創設」「隠匿の未遂は不可罰」は誤り(1992年創設・未遂も処罰)
- ④「届出対象は預金と為替だけ」「参考事例に該当しなければ不要」は誤り(全業務・該当なしでも対象)
- ⑤「月1回まとめて届出」「保守的な報告を多く出せばよい」は誤り(即座に届出)
- ⑥「分割で敷居値を下げれば対象外」「現金は記録に残るので低リスク」は誤り
- ⑦「本人確認できていれば利用実態が不審でも不要」「IP同一でもなりすまし可能性は低い」は誤り
- ⑧「解約された口座は対応不要」「イラン・北朝鮮に直接該当しなければ安心」は誤り
- ⑨「月払い自体が事例」「取引時確認済みならリスク着目の確認は不要」は誤り
- ⑩「犯罪組織の関与でも外国人は除外」「同一の口座に同一環境なら事例」は誤り(“多数の”環境が事例)
- ⑪「自行職員自身の取引は対象外」「ティッピングオフは届出後だけ」は誤り(職員も対象・届出前も禁止)
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問題 1 / 20
金融機関などの特定事業者にとって、疑わしい取引を届け出ることは、犯収法などが課す法律上の義務にあたる。
疑わしい取引の届出は、犯収法等に定められた法律上の義務です。「任意の協力」ではありません。
問題 2 / 20
テロ資金等提供処罰法にいうテロ資金も、疑わしい取引として届け出る義務の対象に含まれる。
テロ資金(テロ資金等提供処罰法で規定)も「犯罪収益」に含まれるため、疑わしい取引の届出義務の対象です(組織的犯罪処罰法2条2項4号)。
問題 3 / 20
疑わしい取引の届出書の記載事項には、「届出を行う理由」が含まれている。
「届出を行う理由」は犯収法施行令16条2項に定める記載事項の一つです。届出書への記入が必要です。
問題 4 / 20
「犯罪による収益」は金銭(現金)に限定されており、不動産や債権などの財産は含まれない。
「犯罪収益等」は金銭に限定されず、動産・不動産・その他経済的価値のある財産全般が含まれます(組織的犯罪処罰法2条4項)。
問題 5 / 20
疑わしい取引の届出を行ったことを、届出の対象となった顧客に通知することが、顧客との信頼関係維持のために求められている。
特定事業者は、疑わしい取引の届出を行おうとすることまたは行ったことを、当該顧客等またはその関係者に漏らしてはなりません(ティッピング・オフの禁止・犯収法8条4項)。
問題 6 / 20
特定事業者から疑わしい取引の届出を受けた各行政庁は、国家公安委員会に通知する。
各行政庁(金融庁等)は受理した届出情報を国家公安委員会(JAFIC)に通知します。JAFICが情報を集約・整理・分析する仕組みです。
問題 7 / 20
JAFICは必要に応じて、外国の資金情報機関(FIU)に対しても疑わしい取引情報を提供することができる。
JAFICは国際連携の観点から、外国のFIU(資金情報機関)にも情報を提供できます。国際的な犯罪収益移転防止対策の一環です。
問題 8 / 20
銀行が行う疑わしい取引の届出先は、財務省(財務大臣)である。
銀行(預金取扱金融機関)の疑わしい取引の届出先は財務省ではなく、金融庁(内閣総理大臣)です。
問題 9 / 20
国家公安委員会は疑わしい取引に関する情報を「犯罪白書」としてまとめ、毎年公表している。
「犯罪白書」は法務省が毎年発行するものです。疑わしい取引情報をもとにJAFICがまとめるのは「犯罪収益移転危険度調査書」です。
問題 10 / 20
国税庁は疑わしい取引の届出情報の活用対象機関に含まれていない。
国税庁は届出情報をデータベース化して全国で情報共有し、各種情報との照合等に活用しています。活用対象機関に含まれます。
問題 11 / 20
2025年(令和7年)中に届け出られた疑わしい取引の通知は101万9,405件にのぼり、これまでで最も多い件数となった。
警察庁「犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和7年)」によると、2025年中の通知件数は101万9,405件で過去最多となりました。
問題 12 / 20
2025年中に、疑わしい取引の情報がきっかけで都道府県警察が検挙した事件のうち、犯罪の種類として最も多かったのは詐欺関連事犯だった。
2025年中の端緒事件1,110事件のうち、詐欺関連事犯(詐欺・犯罪収益移転防止法違反等)が960事件(86.4%)で最も多い犯罪種別でした。
問題 13 / 20
2025年中の通知件数を届出をした事業者の業態別に見ると、銀行等が最も多く、全体のうち67.7%を占めた。
2025年中の届出件数を業態別にみると、銀行等が69万555件(67.7%)で最多です。
問題 14 / 20
疑わしい取引の届出制度は、2007年の犯罪収益移転防止法の施行により創設された。
疑わしい取引の届出制度は、1992年の麻薬特例法施行により創設されました。当初は届出の対象が薬物犯罪収益に限られていましたが、2000年の組織的犯罪処罰法施行で前提犯罪が拡大し、2007年の犯罪収益移転防止法施行後に届出件数が急増しています。
問題 15 / 20
組織的犯罪処罰法10条において、犯罪収益等の隠匿の未遂は処罰されない。
組織的犯罪処罰法10条2項に「未遂は、罰する」と明記されています。未遂も処罰対象です。
問題 16 / 20
他人名義を使って不動産を買おうとする行為は届出の対象になりうるので、あやしいと感じて取引を断ったときでも、届出をするかどうかは検討しなければならない。
取引が成立したことは必ずしも要件ではなく、取引を断った場合も届出対象となる場合があります(犯収法8条1項)。
問題 17 / 20
テロ資金を供与する行為は疑わしい取引の届出対象であり、当該資金供与が未遂に終わった場合も届出を検討する必要がある。
組織的犯罪処罰法10条2項「未遂は、罰する」と明記されており、未遂に終わった場合も届出対象となる場合があります。
問題 18 / 20
疑わしい取引の届出の対象となるのは、銀行の場合、預金と為替の業務に限られ、融資・信託・保護預り・貸金庫等の業務は届出の対象に含まれない。
銀行の場合、預金・内国為替・外国為替・融資・証券取引・信託・保護預り・貸金庫等のすべての業務が疑わしい取引の届出の対象です。特定の業務に限られるわけではありません。
問題 19 / 20
特定事業者が疑わしいと判断して取引を断った場合、取引が成立していないためいかなる場合も疑わしい取引の届出を行う必要はない。
顧客との取引が成立したことは必ずしも要件ではなく、断った場合も届出対象となる場合があります(犯収法8条1項)。
問題 20 / 20
届出の要否は、金融庁が公表する「疑わしい取引の参考事例」のどれかに当てはまるかどうかだけを物差しにして決めればよい。
参考事例はあくまで注意を払うべき類型の例示です。個別具体的な取引が疑わしい取引に該当するかは、顧客の属性・取引時の状況・保有する具体的情報を総合的に勘案して判断する必要があります。
問題 21 / 20
顧客の属性や取引時の状況、手元にある具体的な情報を総合的に踏まえて、疑わしい取引に当たるかを適切に検討・判断できる態勢を、金融機関等は整えることが求められる。
金融庁ガイドラインの求める疑わしい取引の届出態勢の基本です。保有する情報を最新の状態に保ちながら総合的に勘案することが重要です。
問題 22 / 20
金融機関等は、疑わしい取引に該当すると判断した場合には即座に届出手続を開始する態勢を構築することが求められており、取引の複雑性や必要な調査期間なども踏まえて個別に対応することになる。
「直ちに行う態勢を構築」とは、疑わしいと判断した後に即座に届出手続を開始することを意味します。取引の複雑性等を踏まえ個別に対応しつつ、原則は即座の手続開始です。
問題 23 / 20
届出をきっかけにリスクが高いと判断した客については、顧客リスク評価をやり直し、その評価に見合った低減措置を適切にとることが、金融機関等には求められる。
届出を契機とした顧客リスク評価の見直しと、見合った低減措置の実施が求められています。届出で終わりではなく、事後の管理も重要です。
問題 24 / 20
金融機関等は、疑わしい取引に該当すると判断した取引について、1か月に1回決まった日にまとめて届出を行う態勢を構築することが求められている。
ガイドラインFAQでは「1か月に1回決まった日にまとめて届出を行うといった対応は適切ではない」と明示されています。疑わしい取引に該当すると判断した後、即座に届出手続を開始することが求められます。
問題 25 / 20
金融機関等は、犯罪収益移転防止対策として「保守的な報告」をできる限り多く届け出ることが金融庁ガイドラインで奨励されており、届出件数を増やすことが求められている。
届出件数は多ければ多いほどよいわけではありません。安易な「保守的な報告」は避け、リスクベース・アプローチに基づく適切な届出が望まれています。
問題 26 / 20
顧客の収入や資産、属性、過去の取引額などに照らして不釣り合いに高額な取引で、送金や自己宛小切手で足りるはずなのにあえて現金で入出金する取引は、疑わしい取引として注意を払う必要がある。
見合わない高額の現金取引や、送金・自己宛小切手で足りるのにあえて現金を使う取引は、現金の使用形態に着目した代表的な事例です。見合うかどうかは、顧客の属性・収入・資産・過去の取引額等から総合的に見ます。現金は資金の流れを追いにくく、悪用されやすいため注意が必要です。
問題 27 / 20
5万円の保険料が100円玉500枚で支払われた取引は、多量の少額通貨による支払として、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
多量の少額通貨(外貨を含む)により保険料が支払われる取引は、保険会社の現金の使用形態に着目した事例の一つです。少額通貨を大量に用いる支払には注意します。
問題 28 / 20
1回の取引をあえて複数回に分割し、1回あたりの金額を形式的に敷居値より下げれば、規制の対象から外れるため、疑わしい取引として注意を払う必要はない。
1回の取引をあえて複数に分割して、形式的に敷居値を下回らせる手口はストラクチャリングと呼ばれ、規制を免れるための脱法的な取引と考えられます。形式的に敷居値を下回っていても、疑わしい取引に該当する可能性があるため注意が必要です。
問題 29 / 20
現金による取引は金額や日付が必ず記録に残るため、マネー・ローンダリングに悪用される可能性は低く、特段の注意は必要ない。
現金取引は、資金の動きを後から追跡しにくいため、あらゆる取引の中でも最もマネー・ローンダリングに悪用されやすいとされています。記録に残ること自体が安全を意味するわけではなく、十分な注意が必要です。
問題 30 / 20
保険会社の「現金の使用形態に着目した事例」は、保険金の受取の場面に限られ、保険料の支払の場面における現金取引は対象とならない。
保険会社の事例には、収入・資産に見合わない高額の保険料を現金で支払う取引など、保険料の支払の場面も含まれます。受取の場面に限られるわけではありません。
問題 31 / 20
はっきりした理由もないのに多数の口座を持っていると分かった顧客(屋号付きの名義などで名義を変えて多くの口座を持つ場合を含む)の口座での入出金は、疑わしい取引として注意を払う必要がある。
合理的な理由なく多数の口座を持つこと自体が不自然で、屋号付名義などで名義を分けて多数の口座を保有するのは、真の口座保有者を隠している可能性があります。
問題 32 / 20
同一の携帯電話番号が、複数の口座や顧客の連絡先として登録されている場合は、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意を払う必要がある。
同一の携帯電話番号が複数の口座・顧客の連絡先として登録されているのは不自然で、第三者が複数の口座を管理している可能性があります。
問題 33 / 20
非対面で証券取引口座を新規開設した3名の顧客のIPO(新規公開株)の需要申告が、すべて同じIPアドレスから発注されていた場合、なりすまし取引の疑いも考えられるため、注意を払う必要がある。
名義の異なる複数の顧客の取引が同一のIPアドレスから行われているのは不自然で、いずれかの顧客によるなりすまし取引などの可能性があり、注意が必要です。
問題 34 / 20
自宅や勤務先、通勤経路から当該支店で取引をする明らかな理由がない顧客でも、本人特定事項の確認に問題がなければ、特に注意を払う必要はない。
居住地や勤務地等に照らして当該支店で取引をする合理的な理由がない場合に該当する可能性があり、本人特定事項の確認とは別に注意が必要です。
問題 35 / 20
既存顧客のなりすまし調査では、住所や姓が異なっていても、IPアドレスが同一であれば、むしろなりすましの可能性は低いと判断してよい。
住所や姓が異なる、またはIPアドレスが同一である口座は、なりすましの可能性がむしろ高いと考えられ、特に慎重な確認が必要です。
問題 36 / 20
多くの相手に頻繁に送金する口座で、送金の直前に多額の入金がある取引は、疑わしい取引として注意を払う必要がある。
多数の相手に頻繁に送金する口座で、送金の直前に多額の入金があるのは、資金を素早く動かして経由させている可能性があり、注意が必要です。
問題 37 / 20
マネー・ローンダリング対策に非協力的な国や地域に拠点を持つ者と、顧客が行う取引は、疑わしい取引として注意を払う必要がある。
マネー・ローンダリング対策に非協力的な国・地域や、不正薬物の仕出国・地域に拠点を置く相手との取引は、リスクが高く、注意が必要です。
問題 38 / 20
口座を開いた後、短い期間に多額で頻繁な入出金があり、その後に解約された口座は、もう口座が残っていないので疑わしい取引に当たる可能性は低く、その後の対応を考える必要はない。
口座開設後、短期間で多額・頻繁な入出金が行われ、その後に解約または取引が休止した口座も、疑わしい取引に該当する可能性のある取引として注意が必要です。解約済みであることは対応不要の理由になりません。
問題 39 / 20
代理店契約として、自分の口座に振り込まれた金額の一定割合を手数料として受け取り、残りを指定された別の口座へ送金するビジネスは、本人に儲けがあるだけで、マネー・ローンダリングとは無関係である。
振り込まれたお金の大半を別口座へ送るこうした代理送金は、真の送金依頼人や受取人が表に出ず、本人が罪の意識のないままマネー・ローンダリングに加担している可能性が高い取引です。
問題 40 / 20
犯収法上、マネー・ローンダリング対策の制度整備が不十分な国としてイラン・北朝鮮が指定されているため、この2か国に直接該当しない取引であれば、外国との取引で特に注意すべきことはない。
イラン・北朝鮮に直接該当しない取引でも、経済特区などを経由して制裁を迂回する複雑な仕組みがあり、2か国に該当するかどうかだけで安全と判断するのは適切ではありません。
問題 41 / 20
突然、多額の保険料の支払が必要となる高額な保険へ変更する契約者との取引は、疑わしい取引の参考事例として注意を払う必要がある。
少額の保険から突然、多額の保険料が必要な高額保険へ変更するのは不自然で、資金を保険に移す目的の可能性があり、注意が必要です。
問題 42 / 20
貯蓄性(蓄財性)の高い一時払いの保険商品は、犯罪収益を保険料に充ててすぐに解約・払戻しを受けるなど、マネー・ローンダリングに悪用される危険性がある。
蓄財性の高い保険商品は、犯罪収益をいったん保険料に変え、解約して払戻しを受けることで資金の出所を変えられるため、マネー・ローンダリングに悪用される危険性があります。
問題 43 / 20
投資信託や保険などの投資性商品は、購入して一定期間後に解約することで、資金の出所をわかりにくくするレイヤリングの手段に使われることがある。
投資性商品は、いったん購入して一定期間後に解約することで、資金の流れを複雑にして出所を分かりにくくするレイヤリングに使われることがあります。
問題 44 / 20
保険料の支払方法を月払いとする保険契約は、それ自体が、疑わしい取引の参考事例として注意を払う必要がある。
保険料の支払方法が月払いであること自体は、参考事例として挙げられていません。注意すべきは、多額の保険料を年払いや一時払いで支払う場合などです。
問題 45 / 20
すでに預金口座を持つ取引時確認済みの顧客であれば、投資性商品の販売にあたって、マネー・ローンダリングのリスクに着目した確認は必要ない。
取引時確認済みの顧客であっても、投資性商品は預金とは異なるリスク特性があるため、その特性を踏まえてリスクに着目した確認をすることが重要です。
問題 46 / 20
会社が有価証券を発行して資金を集めようとしているのに、その資金の使いみちが会社の事業内容と結びつかず不自然な場合、この発行は疑わしい取引として注意すべき対象になる。
集めたお金の使いみちと、その会社が営む事業とがかみ合わないのは、発行を装って資金を動かしている可能性があり、注意が必要です。
問題 47 / 20
別々の利用者が、名義も住所も別であるにもかかわらず、アクセス元のIPアドレスが同一になっている取引は、注意を払う必要がある。
名義も住所も異なる別々の顧客のはずなのに、同じ場所(IPアドレス)からアクセスされているのは、実際は同一の第三者が操作している可能性があり、注意が必要です。
問題 48 / 20
役員や大口債権者、主要取引先、資金調達をまとめるアレンジャーなどの関係者に、犯罪組織とのつながりが疑われる人物がいる有価証券の発行について、その人物が外国人である場合は事例の対象から外してよい。
暴力団員や暴力団関係者、国内外の犯罪組織に関わる疑いのある人物が関与する発行は、相手が外国人かどうかを問わず注意の対象です。「外国人を除く」といった例外はありません。
問題 49 / 20
対面によらない取引で、一つの口座に対し、いつも変わらない同じ機器や回線から接続がある場合は、疑わしい取引として注意を払う必要がある。
事例として挙げられているのは、一つの口座に「多数の」機器や回線(IPアドレス・端末等)から接続がある場合です。ふだんと同じ環境からの接続そのものが事例なのではありません。
問題 50 / 20
口座開設の際、取引時確認で得た住所と、実際に操作している端末のIPアドレスなどが食い違っていても、本人確認書類がそろってさえいれば、注意を払う必要はない。
取引時確認で得た住所と、操作している端末(パソコン等)のIPアドレスなどが食い違う口座開設は、事例として挙げられており、本人確認書類がそろっていても注意が必要です。
問題 51 / 20
会社を実際に支配している人(実質的支配者)など真の受益者を確かめようとしたのに、その説明も資料の提出も断られた——こうした取引は、疑わしいものとして注意すべきである。
実質的支配者やその他の真の受益者を確かめようとしても説明や資料提出を拒むのは、真の関与者を隠している可能性があり、参考事例として注意が必要です。
問題 52 / 20
対策が行き過ぎて、本来なら正当にサービスを利用できるはずの人まで金融から締め出してしまうのは、避けなければならない。
犯罪の要素を防ぐ手立てが過度になり、本来の金融サービスを正当な理由で受けられる人々まで除外してしまうことは避けるべきで、金融包摂の考え方が求められます。
問題 53 / 20
公務員の既存顧客が一時払いの生命保険を申し込んだ。給与にしては高額だと感じた担当者が資金の出どころを尋ねたところ、相続で得たお金で、支払いも銀行振込だと分かったので、申し出を受けた。
収入に見合わない高額な保険契約でも、取引時確認で資金の出所を確認し、相続による資金で銀行振込であると合理的に説明できれば、申出を受け付けてよい場合があります。
問題 54 / 20
銀行などで働く職員は対策の大切さをよく分かっているのだから、その職員自身が行う取引は、疑わしい取引のチェックの対象にしなくてよい。
自行の職員やその関係者による取引で利益を受ける者が不明なもの、また職員が犯罪収益の隠匿・収受の罪を犯している疑いのある取引も事例に挙げられており、職員自身の取引も監視の対象になります。
問題 55 / 20
届出の内容を顧客に漏らしてはならないという決まりは、すでに届け出た場合だけに関わるものであり、これから届け出ようとしている段階を客に伝えることは差し支えない。
犯罪収益移転防止法8条4項では、届出を「行おうとすること」も「行ったこと」も、顧客や関係者に漏らしてはならないとされており、届出前の段階も禁止の対象です。

第7章 疑わしい取引
総合演習(全分野チェック)
総合演習(全分野チェック)
問正解 / 20問中
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第7章⑫まとめ:総合演習(①〜⑪の総点検)
- ①:届出は犯収法上の義務。犯罪収益は財産一般(現金以外も)。未遂・謝絶でも届出対象になりうる。
- ②:各行政庁→国家公安委員会(JAFIC)→捜査機関・外国FIU。銀行の届出先は金融庁長官。
- ③:2025年の通知件数は過去最多・銀行等が最多。制度は1992年創設。組織的犯罪処罰法10条は未遂も処罰。
- ④:届出対象は銀行の全業務。参考事例に該当しなくても疑わしければ届出対象。
- ⑤:疑わしいと判断したら即座に届出する態勢。届出を契機に顧客リスク評価を見直す。
- ⑥:見合わない高額の現金・ストラクチャリングに注意。現金は最も悪用されやすい。
- ⑦:多数口座・同一IP・なりすまし。本人確認が済んでいても利用実態が不審なら注意。
- ⑧:解約・休止した口座も対象。非協力国・制裁国の迂回・代理送金に注意。
- ⑨:蓄財性の高い保険・レイヤリング。取引時確認済みでも油断しない。
- ⑩:有価証券の発行の真の関与者。非対面はアクセス環境の不一致(2025年8月改訂)。
- ⑪:偽造盗難通貨・実質的支配者の確認拒否。ティッピングオフ(8条4項)と金融包摂。
第7章のヤマは「届出は未遂・謝絶でも対象」「ティッピングオフ(届出を漏らす)は8条4項で禁止・届出前も対象」「現金は最も悪用されやすい(分割による敷居値逃れに注意)」「非対面は“多数の”アクセス環境・同一IPに注意」! 試験、頑張ってください‼
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