第2章 FATF【2026年度対応】|④ FATFの基準を守らない場合の影響・日本が負うリスク(一問一答)

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今回は「FATFの基準を守らない場合の影響」「日本が負うリスク」「FATFは何をして・何をしないか」から合計24問(3単元×8問)を出題します。
最大のポイントは「FATFは金融機関に直接 制裁できない/審査の対象は“国”」。下の「する/しない対比表」で取り違えを防ぎましょう。
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📌 今回のポイント

  • FATFは基準を守らない金融機関等に制裁を科す権限を持っていない(直接の制裁・罰金はない)。影響は国内の仕組み経由=役員の善管注意義務違反(代表訴訟・賠償)/国内法抵触で金融当局の業務停止命令・業務改善命令等の行政処分/コルレス契約の解除→海外送金の停止・制限
  • ⚠FATF自身は制裁しないが、国外(海外)の金融当局(米国・英国等)はマネー・ローンダリング対策の不備を理由に制裁金・罰金を科すことがある(日本の金融機関に科された事例もある
  • FATF対応が不十分なときに日本が負うリスク=国際的な信認の低下と海外取引の支障(実害)/コルレス契約の解除・制限・デューディリジェンスの厳格化/ハイリスク国として国名公表
  • FATF審査の対象は「国」であり金融機関ではない(日本のすべての金融機関等が審査対象になるわけではない)
  • 警察庁「FATF勧告に対応する必要性」=日本は遵守の取組みが最も遅れた国の一つ。課題=顧客管理の強化テロリストの資産凍結
  • FATFが「する」=国への相互審査・継続的なフォローアップ・ハイリスク国の国名公表。FATFが「しない」=国債の格付引き下げ勧告・政府への法令改正の直接指導・各国への取引自粛通達・金融機関への直接処分
  • FATF対応が不十分だと、2021年8月の第4次対日相互審査で日本は強化フォローアップ対象(法令等整備40項目中NC1・PC10/有効性11項目中M8)→FATFから継続的な指摘を受ける可能性
第2章で毎回ひっかかるのが「FATFは何ができて、何ができないか」です。FATFは金融機関を直接 罰したり、審査したりしません(審査の対象は“国”)。この一点を軸に整理しましょう。

① FATFの基準を守らない場合の影響(金融機関)

FATFは「制裁を科す権限」を持たない

FATFは、基準に違反した・守らない金融機関等に対して制裁を科す権限を持っていません。では何も起きないかというとそうではなく、影響は国内の仕組みを通じて及びます。

FATF基準を守らないと起きること(影響の経路)
  • FATFが直接 制裁・罰金を科すことはない(FATFに制裁権限なし)
  • 国内法に抵触する/不適切な業務運営と認められると、金融当局から業務停止命令・業務改善命令などの行政処分を受ける可能性(=処分するのは国内当局)
  • 国外(海外)の金融当局(米国・英国等)から、マネー・ローンダリング対策の不備(イラン・スーダン等への送金関連など)を理由に制裁金・罰金を科される可能性(日本の金融機関に科された事例もある
  • 役員が善管注意義務違反を問われ、株主代表訴訟・会員代表訴訟や役員個人の賠償責任が生じる可能性
  • コルレス契約が解除されるなどして海外送金の停止・制限を受け、決済・送金機能に影響

② FATF対応が不十分な場合に日本が負うリスク

日本が負う主なリスク
  • 国際的な信認の低下+個別金融機関の海外取引・国際金融取引・顧客支援に支障(実害)
  • コルレス契約の解除・制限、コルレス取引時のデューディリジェンスの厳格化
  • FATF審査の対象は「国」=日本のすべての金融機関等が審査対象になるわけではない
  • マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策のハイリスク国として国名公表されるリスク
  • 警察庁「FATF勧告に対応する必要性」=日本は遵守の取組みが最も遅れた国の一つ。課題=顧客管理の強化テロリストの資産凍結

③ FATFは「する」こと・「しない」こと

FATFが行うのは国への相互審査と継続的なフォローアップ。下の「しない」側がそのまま頻出ひっかけです。
FATFが「する」ことFATFが「しない」こと(取り違え注意)
・国を対象とした相互審査
・国への継続的なフォローアップ・指摘
・ハイリスク国の国名公表
・(国を通じた)改善の要請
・金融機関への直接の制裁・罰金
・個別金融機関への業務改善命令などの行政処分(=国内の金融当局の役割)
国債の格付引き下げを格付会社へ勧告
・政府・金融庁への法令改正の直接指導
・各国政府への「取引を控えよ」との通達
FATF対応が不十分だと(第4次審査の例)

2021年8月公表の第4次対日相互審査で、日本は法令等整備状況審査の40項目中不履行(NC)1項目・一部履行(PC)10項目、有効性審査11項目中8項目で中程度(M)と評価され、強化フォローアップの対象となりました。これにより、FATFから主要項目について継続的な指摘を受ける可能性があります。

「国」に対する強化フォローアップの段階(金融機関への直接処分とは別)
  • FATFが国に対して行う強化フォローアップには段階がある=①FATF議長からのレター送付 ②ハイレベル使節団の派遣 ③勧告21の適用 ④FATFメンバーシップの一時停止・剥奪
  • つまり「国」への手段としては最終的にメンバーシップの一時停止・剥奪まであり得る。⚠ただしこれは個別の金融機関への直接の制裁・処分とは別(金融機関への直接制裁はFATFは行わない)

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問題 1 / 24
金融機関等がFATFの基準を守らない場合、当該金融機関等は直接FATFから制裁を受け、罰金などが科される。
FATFは、基準に違反した・守らない金融機関等に対して制裁を科す権限を持っていません。「直接FATFから制裁・罰金」が誤りです。
問題 2 / 24
金融機関等がFATFの基準を守らないことで国内法に抵触する場合、結果として不適切な業務運営として金融当局から業務改善命令などの行政処分を受ける可能性がある。
行政処分を行うのは国内の金融当局です。国内法に抵触すれば業務改善命令などを受ける可能性があります。
問題 3 / 24
金融機関等がFATFの基準を守らない場合、役員が善管注意義務違反を問われ、株主代表訴訟の提起や役員個人の賠償責任が生じる可能性がある。
役員の善管注意義務違反による株主代表訴訟・会員代表訴訟や、役員個人が賠償責任を負う可能性があります。
問題 4 / 24
金融機関等がFATFの基準を守らない場合、コルレス契約が解除されるなどして海外送金の停止や制限を受け、決済・送金機能に影響が及ぶ可能性がある。
コルレス契約の解除等により海外送金が停止・制限され、決済・送金機能に影響が及ぶ可能性があります。
問題 5 / 24
金融機関等がFATFの基準を守らない場合、FATFが直接、当該金融機関等に対して業務改善命令などの行政処分を行う。
業務改善命令などの行政処分を行うのは国内の金融当局です。FATFは金融機関に直接 処分を行う権限を持ちません。
問題 6 / 24
コルレス契約とは、日本の銀行が外国の銀行との間で結ぶ、為替業務(手形の取立委託や送金の支払委託、信用状の通知・確認など)の代行に関する契約をいう。
コルレス契約は外国銀行との為替業務の代行に関する契約です。解除されると海外送金に影響します。
問題 7 / 24
FATF勧告は法的拘束力のある国際法であり、これを守らない金融機関等は国際裁判所で処罰される。
FATF勧告に法的拘束力はなく(事実上の国際標準)、国際裁判所で金融機関が処罰される仕組みもありません。
問題 8 / 24
役員の善管注意義務違反を理由に提起されうる訴訟は株主代表訴訟に限られ、会員代表訴訟が提起されることはない。
株主代表訴訟だけでなく、協同組織金融機関等では会員代表訴訟が提起される可能性もあります。
問題 9 / 24
FATF対応が不十分であった場合、日本の金融に対する国際的な信認が低下し、個別金融機関等の海外取引や国際金融取引、顧客への国際取引支援に支障が生じる実害のリスクを負う。
国際的な信認の低下に加え、個別金融機関の海外取引・国際金融取引に支障が生じる実害のリスクがあります。
問題 10 / 24
FATF対応が不十分であった場合、個別金融機関等に対して、コルレス契約の解除やコルレス取引の制限、コルレス取引時のデューディリジェンスの厳格化などが強いられるリスクを負う。
コルレス契約の解除・制限や、コルレス取引時のデューディリジェンスの厳格化などが強いられるリスクがあります。
問題 11 / 24
FATF対応が不十分であった場合、日本に本社を置くすべての金融機関等が、FATFの審査対象となるリスクを負う。
FATF審査の対象は「国」であり、金融機関ではありません。過去にすべての金融機関等が審査対象となった事例もありません。
問題 12 / 24
FATF対応が不十分であった場合、マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策に関し、日本がハイリスク国であるとしてFATFより国名公表されるリスクを負う。
対策が不十分なハイリスク国として、FATFより国名公表されるリスクがあります。
問題 13 / 24
警察庁「FATF勧告に対応する必要性」では、日本のFATF勧告遵守の取組みは主要国の中で最も進んでいる、と評価された。
実際には、日本は遵守の取組みについて最も遅れた国の一つであると言及されています。課題として「顧客管理の強化」「テロリストの資産凍結」が挙げられました。
問題 14 / 24
金融機関がFATFの基準を守らない場合に制裁金・罰金を科されることがあるとしても、それはFATF自身によるものに限られ、国外(海外)の金融当局が制裁金を科すことはない。
FATF自身は金融機関に制裁を科しませんが、国外(海外)の金融当局(米国・英国等)が、マネー・ローンダリング対策の不備を理由に制裁金・罰金を科す可能性があります(日本の金融機関に科された事例もあります)。
問題 15 / 24
警察庁「FATF勧告に対応する必要性」では、日本の課題として「顧客管理の強化」「テロリストの資産凍結」が挙げられている。
法整備がなされない場合は、ハイリスク国として国名公表される可能性が高いとの懸念が示されています。
問題 16 / 24
FATFがハイリスク国として国名を公表するのは、実際にテロ事件が発生した国に限られる。
マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策が不十分なハイリスク国が対象であり、テロ事件の発生は要件ではありません。
問題 17 / 24
FATF対応が不十分であった場合、FATFから日本政府に対して、主要項目のフォローアップ等の継続的な指摘が行われる可能性がある。
日本は強化フォローアップの対象であり、FATFから主要項目について継続的な指摘を受ける可能性があります。
問題 18 / 24
FATF対応が不十分であった場合、FATFから各国の格付会社に対して、日本の国債の格付を下げるよう勧告される可能性がある。
FATFが各国の格付会社に対して、日本の国債の格付を下げるよう勧告することはありません。
問題 19 / 24
FATF対応が不十分であった場合、FATFから日本政府や金融庁等に対して、法令改正などの指導が直接的に行われる可能性がある。
FATFが日本政府や金融庁等に対して、法令改正などの指導を直接的に行うことはありません。
問題 20 / 24
FATF対応が不十分であった場合、FATFから各国政府に対して、日本との金融取引を控えるよう通達が出される可能性がある。
FATFが各国政府に対して、日本との金融取引を控えるよう通達を出すことはありません。
問題 21 / 24
2021年8月に公表された第4次対日相互審査報告書において、日本は法令等整備状況の審査で40項目中1項目で不履行(NC)、10項目で一部履行(PC)の評価を受けた。
有効性審査でも11項目中8項目で中程度(M)と評価され、日本は強化フォローアップの対象となりました。
問題 22 / 24
FATFの指摘や審査は「国」に対して行われるものであり、個別の金融機関への直接の処分とは異なる。
FATFの相互審査・フォローアップの対象は国です。個別金融機関への直接の制裁・処分は行いません。
問題 23 / 24
FATF対応が不十分であった場合、FATFは日本の各金融機関に職員を常駐させ、直接監督を行う。
FATFが金融機関に職員を常駐させて直接監督することはありません。FATFが行うのは国への相互審査・継続的なフォローアップです。
問題 24 / 24
FATF対応が不十分であった場合に日本が受けるのは、強化フォローアップによるFATFからの継続的な指摘であり、罰則の適用ではない。
日本は強化フォローアップの対象として継続的な指摘を受ける立場にあり、FATFが罰則を科すわけではありません。
第2章 FATF
第2章 FATF
FATFの基準を守らない場合の影響・日本が負うリスク
問正解 / 24問中
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✅ まとめ・要点整理

第2章④まとめ:FATFの基準を守らない場合の影響・日本が負うリスク
  • FATFは金融機関等に制裁を科す権限を持たない。影響は国内経由=金融当局の業務停止命令・業務改善命令等/役員の善管注意義務違反/コルレス契約の解除。⚠FATFは制裁しないが国外(海外)の金融当局(米英)は制裁金を科すことがある
  • 日本が負うリスク=国際的な信認の低下・海外取引の支障/コルレス制限・デューディリジェンス厳格化/ハイリスク国として国名公表
  • FATF審査の対象は「国」(すべての金融機関等が審査対象になるわけではない)。警察庁=日本は最も遅れた国の一つ・課題は顧客管理の強化テロリストの資産凍結
  • FATFが「しない」=格付引き下げ勧告・政府への法令改正の直接指導・各国への取引自粛通達・金融機関への直接処分。「する」=国への相互審査・継続的フォローアップ・国名公表
  • FATF対応が不十分だと、第4次対日相互審査(2021年)で強化フォローアップ対象となり、継続的な指摘を受ける可能性
「FATFは金融機関に直接 制裁・業務改善命令はしない(行政処分は国内の金融当局)」「審査の対象は“国”(すべての金融機関ではない)」「国債の格付引き下げ勧告・各国への取引自粛通達もしない」――この3つが頻出ひっかけです!
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