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先に正直に書きます。私は落ちていません。
2024年12月に一度だけ受けて、80点で合格しました。だから、このページに「落ちたときの気持ち」は書けません。書いたら嘘になります。
代わりに書けることがあります。銀行に約30年、そのうち外国為替の仕事を約20年。その職場で、落ちた方を何人も見てきました。
そして私自身、80点です。合格ラインは70点ですから、余裕だったわけではありません。落とした問題を見て分かったのは、わかって解けた気になっていたということでした。
私と落ちた方を分けたのは、たぶん、そこが整理できていたかどうかだけです。このページには、そこだけを書きます。
落ちる方の共通点は「実務でやっているから、大丈夫」
職場で聞いた落ちた理由は、だいたい2つでした。「時間がなかった」と、「実務でやっているから、そんなに構えなくても大丈夫だと思った」です。
危ないのは、あとのほうです。
私もそうでした。行内の手続きは、決められたとおりに守れます。目の前の事務は正確にできます。でも「その手続きは、どの法律の、何のためにあるのか」と聞かれると、答えられませんでした。
試験が聞いてくるのは、手続きの手順より、その手続きが立っている土台のほうです。毎日やっている方ほど「知っているはず」で読み飛ばして、そこで落とします。
ですから、落ちた方が特別だったわけではありません。私の職場では、部長や次長といった立場の方が2度落ちたこともありました。実務経験の長さでは決まらない試験です(私自身、約20年やって80点です)。
やってはいけない立て直しは、問題集をまた最初から解き直すこと
落ちたあと、いちばん自然に思いつくのが「もう一周する」だと思います。私もそうしていました。
でも、2周目は1周目より速く進みます。速く進むと、できるようになった気がします。
私の場合、終盤には問題集のページの場所で答えがわかってしまう状態になっていました。設問を読む前に、右ページの下のほう、という記憶だけで正解が出てきます。あるあるではないでしょうか。
これは、並び順を覚えただけです。本番では並び順が変わります。同じやり方でもう一周しても、同じところで止まりやすい。
立て直しは「解く」ではなく「整理する」
私が80点だった理由も、ここだと思っています。体系立てて覚えることができていなかった。知識が点のまま置いてあるので、少し角度を変えて聞かれると答えられません。
章の中で位置が分かっていれば、初めて見る言い回しでも「これは第4章のあの話だ」と見当がつきます。落ちたあとに必要なのは、この見当がつく状態です。
では、整理するとは具体的に何をするのか。私がやってみて効いたことを、そのまま書きます。
1. 章ごとに「結局なんの話か」を1行で書く
テキストを閉じて、白い紙に書きます。第2章なら「世界で共通のルールを決めて、守っているかを点検する話」というくらいで十分です。
書けない章が、いま弱いところです。テキストを開いたまま書くと、書き写しになるので意味がありません。
2. 用語は、意味より先に「どこで出てくるか」で並べ直す
用語集の順に覚えても、試験はその順では聞いてきません。「取引時確認」なら、口座をつくるとき、大口の現金取引のとき、一定額を超える送金のとき、というように、場面から用語を引ける形に置き直します。
実務をしている方には、これがいちばん相性のいいやり方だと思います。場面のほうは、もう体が覚えているからです。
3. 数字だけを集めて、1枚にする
金額、年数、日数、条文の番号。数字は本文の中に散らばっていると覚えられません。数字だけ抜き出して並べると、似ている数字どうしがぶつかります。ぶつかったところが、そのまま覚えどころです。
ひっかけは、たいていこの「似ている数字」で作られます。
4. 四答択一をやめて、1文ずつ○か✕かで言い直す
四答択一は、消去法で当たってしまいます。当たると、分かったことになります。これが「わかって解けた気になっていた」の正体でした。
選択肢を1文ずつ切り離して、「これは○か、✕か」と自分に聞きます。✕なら、どこが✕なのかを一言で言う。ここで詰まる場所が、本当の弱点です。
このサイトを一問一答(○✕)にしたのは、これが理由です。
5. 声に出して説明してみる
説明できないところは、まだ整理できていません。相手はいなくて大丈夫です。私は通勤中に、頭の中で誰かに教えるつもりでやっていました。
どの章から手をつけるか(配点から逆算する)
全部やり直す時間はない、という方が多いと思います。そういうときは、配点から決めるのがいちばん早いです。
私が受けたときの章別の配点です(2024年12月時点。試験や時期によって変わる可能性はあります)。
第4章・第6章・第7章の3つで56点あります。合格は70点ですから、ここが崩れると、ほかの章で取り返すのはかなり苦しくなります。手をつける順番に迷ったら、この3つからです。
ただし、捨てる章は作らないでください。この試験は絶対評価で、100点満点中70点を取れば合格できます。誰かと点を競うわけではないので、取れるところを全部拾うほうが、結局は安全です。
実物のスコアレポートの写真と、章ごとの配点と私の実際の点数は別のページにまとめています。自分がどこで落としたかが分かると、次にやることが決まります。
再受験は、いつから受けられるか
ここは公式に決まっているので、先に確認しておきます。
| 再受験できるのはいつから | 同じ種目は、受験日の翌日から起算して5日間は2度目の受験ができません(再受験規定=リテイクポリシー) |
| 具体例 | 8月3日に受験した場合、8月9日以降なら2回目を受けられます |
| お金 | 再受験にも、あらためて受験手数料5,500円(税込)がかかります |
| 当日欠席したとき | この規定は適用されません。5日を待たずに受けられます(この場合も手数料は必要) |
きんざいのサイトには「受験日の翌日から起算して6日後以降に、2度目の受験をすることができます」と書かれています。数え方の言い方が違うだけで、同じことです(8月3日に受験した場合は、どちらで数えても8月9日から)。
5日というのは、思っているより短いです。悔しさが残っているうちに日程を入れたくなりますが、上の「整理」を一周する時間は取ったほうがいいと思います。私なら、先に受験日だけ押さえて、そこから逆算します。
テストセンターは他の試験とも共用なので、混んでいる日はわりとあります。予約は受験日の3日前まで受け付けていますが、3日前に空いている保証はありません。申込みの手順と当日の会場の様子は、別のページに詳しく書きました。
「見られたくない」という気持ちについて
落ちたあと、いちばんしんどいのは勉強そのものより、こちらかもしれません。
問題集を広げている姿を同僚に見られたくない。電車の中で開くと、隣の人の視線が気になる。落ちたことを知られていれば、なおさらだと思います。
ひとつだけ、私の経験を書いておきます。
試験当日、部屋に入ったら、同じ職場の後輩がすでに座っていました。同じ時期に、同じ試験を、同じ会場で。金融機関に勤めていると、わりと起こることです。見られた、と思いました。
ところが後日その後輩に聞いてみたら、私がいたことに気づいていませんでした。
拍子抜けしましたが、たぶんこれが本当のところなのだと思います。みんな自分のことで頭がいっぱいで、周りを見ていません。「誰かに見られたらいやだな」と思う必要は、たぶんありません。
それでも気になるなら、紙を持ち歩かないという手があります。スマホを見ている人は、何を見ているのか誰にも分かりません。このサイトを一問一答にしたのは、隙間時間に、誰にも見られずに解けるようにしたかったからでもあります。
私が無駄にした時間
同じ回り道をしなくていいように、書いておきます。
模擬試験と過去問を探した
いちばん無駄にしたのが、これです。AML/CFTスタンダードコースには、公式の模擬試験も過去問も存在しません。
「模擬試験」「過去問」と検索しても出てこないのは当然で、そもそも存在しないからです。試験問題は配られませんし、持ち帰ることもできません。私はこれを知らずに、探すだけで時間を使いました。
もうひとつ。同じ日に受けた後輩と話したとき、出てきた言葉が違っていました。別の日に受けた後輩とも違いました。あくまで推測ですが、問題はいくつものパターンが用意されているようです。だとすると「先に受けた人に聞く」という対策も、あてになりません。
YouTubeの有料メンバーシップを解約し忘れた
約2週間で一発合格した勉強方法にも書きましたが、YouTubeで勉強しようと、AML/CFT系のチャンネルの有料メンバーシップに登録しました。
結局ほとんど活用できないまま、解約を忘れて何ヶ月も課金し続けていました。
登録は一瞬でできますが、解約を思い出すタイミングは、なかなか来ません。課金する前に「いつ解約するか」を決めておいてください。
分厚い問題集を持ち歩いた
重いし、かさばるし、結局あまり開きませんでした。持ち歩くだけで勉強した気になるのが、いちばん危ないところだと思います。
だから、このブログを始めました
私がこのサイトを作った理由は、ひとつです。
わかって解けた気になっていたこと。体系立てて覚えることができていなかったこと。だから、自分の弱点を補うため、そしてこれから受ける方の力になるため、このブログを始めました。
ここまでに書いた「整理する」を、章ごとに一問一答の形にしたものが、このサイトです。もう一度問題集を最初から解き直す前に、こちらを一周してみてください。どの章のどこが抜けているかは、解いているうちに自分で分かります。
落ちた方も、これから受ける方も、分かれ目は能力ではなく、着手の早さと整理のしかたです。私が見てきた範囲では、そうでした。
「合格できました!」の一言をいただけると、いちばんの励みになります。
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